くるみ割り人形と秘密の王国の映画専門家レビュー一覧
くるみ割り人形と秘密の王国
童話『くるみ割り人形』をディズニーが脚色したファンタジー映画。母を亡くして塞ぎ込んでいたクララは、クリスマス・イヴの晩に開かれたパーティーで、プレゼントを糸でたどるゲームに参加するうちに不思議な世界に迷い込む。出演は、「インターステラー」のマッケンジー・フォイ、「イミテーション・ゲーム エニグマと天才数学者の秘密」のキーラ・ナイトレイ、「クィーン」のヘレン・ミレン、「ジーサンズ はじめての強盗」のモーガン・フリーマン。監督は、「僕のワンダフル・ライフ」のラッセ・ハルストレム。
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翻訳家
篠儀直子
時代設定が謎すぎるところへ、ハリウッドのロシアファンタジーまでもが流れこみ、どこかで見たようなお話にお定まりのキャラクターがちりばめられて、これはもう美しい絵本をぼんやり眺めるような気持ちで観るしかないのかと思ったが、ボールみたいな形の道化が登場するあたりから、劇的な緊張関係とヴィジュアルの美しさがかみ合ってようやく面白くなる。果敢にアクションに挑戦するヘレン・ミレン姐さんにびっくり。最後のクレジットの背景に流れる映像はたぶんバレエファン必見。
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映画監督
内藤誠
可愛い主人公クララ(マッケンジー・フォイ好演)が科学と機械が大好きな少女だという話なので、全篇、カラクリと仕掛けが楽しめる作品。オモチャの兵隊やネズミの大群の動きも面白い。ラッセ・ハルストレムとジョー・ジョンストンの演出はキーラ・ナイトレイやモーガン・フリーマン、ヘレン・ミレンそれぞれに見せ場を作って、贅沢な感じを与える。音楽は「ファンタジア」以来の伝統を受け継ぎ、劇中で挿入される舞台の踊りもみごとでディズニー映画のよさを発揮しているとおもった。
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ライター
平田裕介
大方の部分をラッセ・ハルストレムが手掛けるも、撮影の終盤をジョー・ジョンストンが引き継いで完成。なにやらトラブルがあったかどうかは我々の与り知らぬところだが、なんだか投げやりな雰囲気が全篇を覆っているのは確か。物語のフックになるはずである、ヒロインの亡き母が想像した王国、その摂政たちとの関わりなどがボンヤリとしか語られないので、クライマックスもさして盛り上がらず。マッケンジー・フォイの嘘みたいな美貌とスチーム・パンク風な王国の風景には見入った。
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