ホイットニー オールウェイズ・ラヴ・ユーの映画専門家レビュー一覧

ホイットニー オールウェイズ・ラヴ・ユー

「ラストキング・オブ・スコットランド」のケヴィン・マクドナルドが歌手ホイットニー・ヒューストンの素顔に迫るドキュメンタリー。膨大な映像記録や未公開のホームビデオ、家族や友人らの証言を紡ぎ、ゴシップにとらわれることなく彼女の真の姿を映し出す。
  • ライター

    石村加奈

    「ボディガード」(92)をはじめ、いわゆる彼女の全盛期に、アメリカン・ポップスとはおよそ縁遠い生活をしていた筆者には、彼女の歌はラジオや街中で流れるBGMに過ぎなかった。しかし本作で彼女の歌の背景を知ったことで、歌の印象はガラリと変わった。例えば「I Have Nothing」などは全く違う歌のように響いた。天使から悪魔のように激変する彼女の顔が、絶頂から転落までを雄弁に物語っている。歌への情熱や愛さえも奪ってしまう、ドラッグの恐ろしさに、改めてゾッとする。

  • 映像演出、映画評論

    荻野洋一

    音楽や美術、バレエなどアーティストのドキュメンタリーがここ数年激増しているが、このジャンルでこれほど悲しみを宿した作品は見たことがない。ホイットニーの親類や関係者、元夫のボビー・ブラウンなどが彼女のことを語る、それぞれのフィルターを通して。だから「あいつの存在が悪影響を及ぼした」とかいう証言が増えてくる。画面を見ているうちに筆者は、母親と兄弟も含めた出演者全員に怒りが込み上げてきた。「彼女がここまで堕ちたのはあなた方全員のせいだ」と。

  • 脚本家

    北里宇一郎

    売り出しから、栄光、そして薬物依存による転落。この種のミュージシャン映画を何本見せられたことか。だけどこれは紛れもない事実。そこが痛ましい。どうして彼女がこうなったか。元夫を詰問したり、少女時代の性的虐待の犯人を探しあてたりするが、そちらを追及しても無意味な気がして。ホイットニーに公私ともに寄り添っていたレズの女性。後半、姿を消した彼女こそ、ホントの哀しみを受け止めていたのでは? この女性を核にしたらと思った。彼女の眼を通したホイットニー像をと。

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