108 海馬五郎の復讐と冒険の映画専門家レビュー一覧
108 海馬五郎の復讐と冒険
大人計画の主宰・松尾スズキが監督・脚本・主演を兼任した苦悩と笑いの復讐劇。愛する妻・綾子が他の男への熱い恋心をSNSに書き込んでいることを知った脚本家の海馬五郎。激怒した彼は妻のSNSに“いいね”をつけた人数=108人の女を抱くという復讐を思いつく。共演は「蝶の眠り」の中山美穂、「BRAVE STORM ブレイブストーム」の大東駿介、「リバーズ・エッジ」の土居志央梨、「ハナレイ・ベイ」の栗原類。
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ライター
須永貴子
岩井秀人や秋山菜津子ら俳優たちが文字通り体を張り、濃い目に味付けされたキャラクターが放つセリフのやりとりで笑わせる、大人の艶笑もの。バリエーション豊かなセックスシーンからは、快楽やエロスよりも、己の決めた復讐ノルマに縛られ空回りする、主人公の空洞と悲哀が強く立つ。老いに伴う孤独への憂いや、SNS社会への批判なども込めた監督4作目にして、初のオリジナル脚本で、松尾スズキらしさがようやくストレートに表出した。ラストの先を想像する楽しみも。
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脚本家、プロデューサー、大阪芸術大学教授
山田耕大
この映画をどう評していいのか悩んでしまう。「快作」と言うべきか。マルクス兄弟を思わせるナンセンスコメディ。設定からしてナンセンス、いい意味で。「バカバカしいことこそ命」と言わんばかりの開き直り、もちろんいい意味で。松尾スズキという役者に改めて感服する。バカバカしいことにがむしゃらに体当たりしているが、がむしゃらに見せないところが得難いセンスである。このままずっと見て笑っていたい……。これからだと思われるところで終わってしまった気がして、悔しかった。
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映画評論家
吉田広明
SNSで妻の浮気を知った男が、奪われる財産を減らすため金で風俗嬢を買いまくり、遂には「女島」へ。そもそもSNSを鵜呑みにする辺りで頭悪いだろと思ってしまうし、ギャグが下品なのはいいとして、ほとんどが上滑りしていて笑えない(これは個人差があるだろうが)上に、何が描きたいのか(エロなのか愛なのか。それにしては裸こそ多いが全くエロを感じないのは決定的にダメだろうし、妻への捩れた愛もとってつけたようで、中山美穂の無駄遣い)どこを取っても中途半端。
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