柴公園の映画専門家レビュー一覧

柴公園

公園で、柴犬を連れた中年男3人がダラダラと喋る様子を映す同名TVドラマの劇場版。日々壮大な無駄話を繰り広げるあたるパパ、じっちゃんパパ、さちこパパ。ある日、3人の中で唯一独身のあたるパパに恋の予感が。相手は真っ白な柴犬・ポチを連れたポチママだった。出演は「半世界」の渋川清彦、「止められるか、俺たちを」の大西信満、「ハッピーランディング」のドロンズ石本、「THE LIMIT OF SLEEPING BEAUTY リミット・オブ・スリーピング ビューティ」の桜井ユキ。監督は、ドラマ版でもメインディレクターを務めた「人狼ゲーム インフェルノ」「ゼニガタ」の綾部真弥。
  • 映画評論家

    北川れい子

    ダベリング映画の佳作「セトウツミ」の、柴犬連れのおじさん版という趣向で、ドラマ版は未見だが、人畜無害度100%!! 主役の渋川清彦がコケ(苔)の研究者で、背広にネクタイ姿で大学に通うシーンなどもチラッとあるが、メインはそれぞれの柴犬を連れた渋川ら三人の男たちが公園のベンチに座っての井戸端会議で、世はコトもなし、の他愛なさ。後半は、渋川の柴犬絡みの恋物語が用意されているが、ドロンズ石本と大西信満の節度ある野次馬演技も憎めない。そして愛すべき犬たち。

  • 映画文筆系フリーライター、退役映写技師

    千浦僚

    何もないとか、駄弁りだけの映画という触れ込みだがそれは韜晦というかであって、相当仕掛けてるし中身はいろいろある。それは渋い野心だ。系譜としてはドラマ・映画の「幼獣マメシバ」シリーズ直系だろうが、発想やスタイルの面では「セトウツミ」(2016年、大森立嗣)を思わせる。ただ、そういう、どれだけ引き算にしていくか、には行かない。ところで犬がこんなに芝居するものなのか、いやもちろん編集の技もあるだろうが、それにしてもこんなにうまくはまるものかと感心。

  • 映画評論家

    松崎健夫

    劇中の「苔は自己主張せず人々の生活に密着している」という台詞は、本作の魅力を代弁している。犬は人と人とを媒介する。本作においてもコミュニケーション下手な人間同士を繋ぐコミュニケーションのツールとして、犬が重要な存在になっていることを窺わせる。ドラマの劇場版という立ち位置だが、独立した作品として鑑賞可能な点、さらに“渋川清彦の主演映画”としての価値に対しても評価されるべき点がある。「自分を認めたら楽になる」なる台詞に現代社会の疲れを癒す根源を悟る。

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