ビリーブ 未来への大逆転の映画専門家レビュー一覧
ビリーブ 未来への大逆転
史上初の男女平等裁判に挑んだ女性弁護士をめぐる実話を「博士と彼女のセオリー」のフェリシティ・ジョーンズ主演で映画化。1970年代。夫からある訴訟の記録を見せられたルースはその訴訟が、歴史を変える裁判になることを信じ、自ら弁護を買って出るが……。共演は「君の名前で僕を呼んで」のアーミー・ハマー、「ミザリー」のキャシー・ベイツ、「ガール・オン・ザ・トレイン」のジャスティン・セロー、「女神の見えざる手」のサム・ウォーターストン。監督は「ディープ・インパクト」「ザ・エッグ ロマノフの秘宝を狙え」のミミ・レダー。脚本は、主人公ルースの甥であるダニエル・スティエプルマン。
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翻訳家
篠儀直子
アーミー・ハマー演じるマーティンの「理想の夫」ぶりにもぐっと来るが、もうひとつ見逃してはならないのは、この映画が女三代の継承の物語として構築されていること。個人的には、ハーバード法科大学院に女子学生入学を初めて認めた学長が、女性の権利を擁護する進歩的ヒーローとして描かれそうなものなのに、(現実にこういう人だったのか、検証する材料をわたしは持たないが)性差別意識を露わにする人物になっていて、ルースが倒すべき敵として立ちはだかることに興味を惹かれる。
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映画監督
内藤誠
ルース・ギンズバーグを演じるフェリシティ・ジョーンズが男性優位の社会に断固対抗して、颯爽と歩く姿は、さすが時代のヒロインという感じ。だが、1956年当時、彼女が入学したハーバード法科大学院には女子トイレがなかったとは驚く。しかも女性、母親、ユダヤ系であることで、夢であった弁護士になるのさえ容易ではなかったのだ。それだけに、弁護士となってから女権拡張のために戦う長い法廷場面は圧巻。彼女の甥が脚本を書き、女性が監督していて、家族の関係も興味深い。
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ライター
平田裕介
女性の権利を?むだけではなく、男女それぞれに植え付けられた“らしさ”も取り払おうとするギンズバーグ。その真の平等精神に加え、物語の核となる裁判で彼女が助けるのは老母の介護に困窮するオッサンである。おかげで中年男も引き込まれるし、M・レダーならではの無駄なき演出、きっと彼女も映画業界でジェンダーにまつわる嫌な経験をしてきたんだろうな……というこちらの勝手な思い込みも相まって見入ってしまった。とりあえず、F・ジョーンズはギンズバーグに似ていない。
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