最高の人生の見つけ方(2019)の映画専門家レビュー一覧

最高の人生の見つけ方(2019)

同名ハリウッド映画を「北の桜守」の吉永小百合と「恋妻家宮本」の天海祐希主演でリメイクしたヒューマンドラマ。余命宣告を受けた主婦の幸枝と女社長のマ子は、たまたま手にした同じ病院に入院する少女の“死ぬまでにやりたいことリスト”を実行することに。監督は、「猫は抱くもの」の犬童一心。
  • 映画評論家

    川口敦子

    J・ニコルソン+M・フリーマンのオリジナル作の“もうご勝手に”な展開をそれでも成立させたスターの力。今回の小百合+天海(相性もいい)にもそんな力は実感される。少女の夢を代行というリメイク版のアイディアも、国民の夢を代行したスター吉永にはいかにもふさわしく、そのふさわしさに無駄な抵抗をしない彼女が自分の場所を素直に究めて獲得した久々の輝きが、あきれるしかないプロットにも目をつぶらせる。これをウェルメイドな映画といってしまうことには抵抗したいけれど。

  • 編集者、ライター

    佐野亨

    吉永小百合と天海祐希のタイプキャスティングから一歩もはみ出さない人物描写の貧しさが映画全体に及んでおり、早い段階でこの二人の行く末にいささかの興味も持てなくなる。周辺人物ふくめ、内的な情動をさっぱり欠いた状態のまま、気がつけばあらゆる問題が解決してしまう展開に?然茫然。「チェンジング・ムービー」というふれこみだが、段取りと予定調和があるだけで、本質的な変化の瞬間はついに一度も訪れない。残るのは「最高の人生(の終活)は金次第」という感想だけだ。

  • 詩人、映画監督

    福間健二

    こういうリメイクの前例を思いつかない。勝負するとしたら、旅に出る二人が、自分たちと内輪の問題だけでなく、女性だからこその感受性で他者と世界にどう向かうかに突きどころがあっただろう。いちおうオーラありの吉永小百合も、啖呵を切れる天海祐希も、そして物語上のありあまるお金も、こんな使い方が精一杯という企画。その枠内で、犬童監督たちはなんとか映画という夢の、持たざる人々への初期的な機能のカビをはらっている。ムダ多いなかで満島ひかりは効率よく存在する。

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