JKエレジーの映画専門家レビュー一覧

JKエレジー

群馬県桐生市で開催されているきりゅう映画祭の企画コンペを経て制作された短編を元にした青春活劇。将来に希望が持てない高校三年生の梅田ココアは、特待生奨学金制度での大学進学を目指す。だが、ある事件をきっかけに、進学を諦めざるをえなくなり……。出演は「SUNNY 強い気持ち・強い愛」の希代彩、ドラマ『クズの本懐』の猪野広樹、「ピンカートンに会いにいく」の芋生悠。
  • 映画評論家

    北川れい子

    “JK”とか“エレジー”とか、あまり食指が動かないタイトルだが、17歳の女子高生の、これが私の生きる道、上等だァ!! 学校とバイト、ときには親友とカラオケに行き、家ではギャンブル好きの父親と元お笑い芸人の兄の食事の世話、更に裏バイトまでしている忙しい女子。けど彼女の名前がココアって、どーなの? 折角、地に足が着いた頼もしい女子を誕生させたのに、キラキラネームとは。ともあれ、自力で前へ進もうとするココアの奮闘は、演じる希代彩の好漢もあり小気味いい!

  • 映画文筆系フリーライター、退役映写技師

    千浦僚

    先日「万引き家族」が地上波放映された際に眩暈をおぼえたのは、本篇と、差し挟まれるCMにある生活や家族像のギャップ。CM的物質面の豊かさに視線を固定しつつ困窮と犯罪性に強い引力を受けて下降する層がリアルに存在することを思う。「JKエレジー」が描くのはその感じ。阿部亮平演じる地元の半グレ実業家アニキが怖すぎてヒロインが無事なのが不思議&ラスト直後に彼女は陰惨な状況に陥るはず。だがバッドエンドを踏み越えて生きる彼女も想像できる。働かぬ川瀬陽太が悪い。

  • 映画評論家

    松崎健夫

    空き缶やペットボトルなどのゴミを脚で踏み潰す姿。やがてそれは、劇中の現実で撮影された映像であることが判明する。つまり、劇中における“虚構”なのだ。物を壊すことでフラストレーションを発散する行為が“虚構”であるということは、主人公のフラストレーションが解消されていないということになる。つまり“クラッシュビデオ”を冒頭に見せることで、困窮したJKの収入源を伝えるだけでなく、破壊衝動が治まらないほどフラストレーションが堆積していることを匂わせるのだ。

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