スノー・ロワイヤルの映画専門家レビュー一覧
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翻訳家
篠儀直子
日本公開題名は「バトル・ロワイアル」のもじりだろうか。その名のとおり、父親による息子の敵討ちが、やがて二つの犯罪組織総がかりでの盛大な殺し合いへと発展する(ちょっと黒澤の「用心棒」みたいな事態でもある)。でもアゲアゲのアクションではなく、少しずつずれている感じのオフビートな可笑しさ。利発な男の子を中心に、お前ごときがこの子を息子に持つのはもったいないと言いたくなるそのダメ父と、息子を失った父親二人とが集結する終盤の図式も、女たちの賢明さも面白い。
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映画監督
内藤誠
ノルウェーの監督モランドがアメリカで自作品をリメイクするという試み。全篇、寒々とした雪景色の中でリーアム・ニーソンが運転する除雪車が迫力満点。息子を麻薬ギャングに殺されたニーソンの復讐物語だが、最終のターゲットになるトム・ベイトマンがこれ以上いやなキャラクターはないという人物を演じて話をもたせる。いつも陽気な先住民族のギャング団もトム・ジャクソン以下、作品に味をそえる。婦人警官役エミー・ロッサムなど描きたりないが、スタイリッシュな娯楽作品だ。
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ライター
平田裕介
オリジナル版「ファイティング・ダディ 怒りの除雪車」と同じ監督が手掛けているわけだがハリウッド的味付けを一切することなく、復讐の連鎖や拡散、先住民と先住民面をする移民の対立といったテーマをこちらでもガツンと打ち出している。ただし主人公がリーアム・ニーソンであるため、はなから無双なオヤジにしか見えないという欠点が生じてしまっている。オリジナル版はステラン・スカルスガルドゆえに実直なオヤジが復讐鬼になる凄みと笑いがあったのだが……そこが少し残念。
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