五億円のじんせいの映画専門家レビュー一覧

五億円のじんせい

GYAOとAmuseによる映画製作オーディション企画「NEW CINEMA PROJECT」第一回グランプリ作品。幼少期、善意の募金5億円で難病から命を救われた高校生の高月望来は、周囲からの期待やマスコミに晒される窮屈な青春を送るなか、SNSで自殺を宣言するのだが……。出演は「ソロモンの偽証」の望月歩、「小さな恋のうた」の山田杏奈、「榎田貿易堂」の森岡龍、「22年目の告白 私が殺人犯です」の平田満、「生きてるだけで、愛」の西田尚美。脚本を「女の機嫌の直し方」の蛭田直美、監督を『ミチずレ』の文晟豪(ムン・ソンホ)が務める。
  • 評論家

    上野昻志

    きっちりエンタメしている。他人の善意によって救われた命というのは、当人にとっては相当な重荷になるだろう、まして、それが5億円に相当するしたら、というのが出発点。かくて期待される人間像からの逃避プラス5億円という枷も背負った主人公の旅が始まるのだが、親切なホームレスに出会い、あやしい風俗店で働き、得体の知れぬ契約仕事を受け……と、それぞれのエピソードは、それなりに面白く出来ている。全体に都合よくいき過ぎてないと言いたくなるのはグッと堪えて。

  • 映画評論家

    上島春彦

    自分の「生きる」価値は五億円。というので「清算する」ため、それを稼ぐ旅に出る少年の話。稼げば降りられる(人生から)、という理屈である。中二病っぽいコンセプトだが、そこを免れているのは風俗で男を買うお嬢さん(実際には失敗する)とか、謎の便利屋とか、過剰に世間を気にするお母さんとか、脇キャラの喜劇的部分が楽しめるからだ。寓話的な雰囲気は「サリヴァンの旅」を思わせる。藤子不二雄の漫画「フータくん」という線でもあるな。何かと(世間に)感謝疲れの少年も好演。

  • 映画評論

    吉田伊知郎

    重大事故で助かった若者もそうだが救命関係へ進むことが多く、本人の意志なら兎も角、定期的にマスコミへ晒されることから社会貢献の出来る仕事を選ばざるを得ない面もあるのではないか。災害や基金にしても匿名の第三者があたかも債権者の如く出しゃばってくる現代に相応しい企画だ。もっとも家出した主人公が労働を重ねて社会の実情を知るという展開はありきたり。海外での超高額医療を基金で行う問題にも踏み込んで欲しかったと思うのはないものねだりか。望月歩が出色の演技。

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