HiGH&LOW THE WORSTの映画専門家レビュー一覧

HiGH&LOW THE WORST

大ヒットシリーズ「HiGH&LOW」と高橋ヒロシの人気コミック『クローズ』&『WORST』がクロスオーバーしたアクション。新世代が覇権を争うSWORD地区の鬼邪高校と、その隣町で過去最強と謳われる鳳仙学園。やがて両校は激突の時を迎える。出演は「PRINCE OF LEGEND」の川村壱馬、「劇場版 おっさんずラブ ~LOVE or DEAD~」の志尊淳。監督は「HiGH&LOW THE MOVIE 3 / FINAL MISSION」の久保茂昭。
  • 映画評論家

    川口敦子

    今世紀の初め、韓国のタランティーノか深作かと注目されたリュ・スンワン、その「クライング・フィスト」の一景――ドレッドヘアのチンピラが川辺のチェイスを繰り広げ、上がる水しぶき、それが白く光を反射して砂粒のような残像を結ぶ度、時空が凍りつき歪な塊りを抱えた青年の心模様を掬い取った。そんな活劇場面の、人工的処理をものともしない生々しさをこのEXILE仕掛けのシリーズ最新作のモブ・アクションを前に想起しつつ、無闇な反復が招く単調さを免れ得たらと夢想した。

  • 編集者、ライター

    佐野亨

    ヤンキー文化の到達点というべき度を越した虚構性、その凝縮と拡大のスイングで見せきってしまうハイローシリーズ、今回は不良漫画の雄・髙橋ヒロシの色が加えられ、ややジュブナイル路線への振りが大きい。イキのいい若手役者陣はそれぞれに魅力的(個人的には山田裕貴と前田公輝にいたく惚れた)。河原での集団戦、廃墟団地での最終決戦もそれぞれに趣向を凝らして見せる。惜しいのはジュブナイル描写との落差で、この部分に映画全体を下支えするだけの濃度とテンションが足りない。

  • 詩人、映画監督

    福間健二

    途中の「理不尽さをこえてバカみたい」というセリフ、作品全体のことかと一瞬思った。ここまでエスカレートした学園アクションを支えるのは何か。原型を探れば大昔までさかのぼりそうな人情物とヤクザ的暴力の相互依存。漫画も映画ももっぱら当座しのぎの業界的無能さが、反知性で何が悪いという風潮におもねってもいる。だが、と言うべきか。久保監督は画の質感にこだわり、大内アクション監督は時代劇的と香港的の融合の先を狙う。楓士雄の川村壱馬に懐かしいB級スターの味。

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