パリの家族たちの映画専門家レビュー一覧

パリの家族たち

「奇跡の教室 受け継ぐ者たちへ」のマリー=カスティーユ・マンシオン=シャール監督がパリで働く女性たちとその家族を取り上げた群像劇。職務と母親業の狭間で不安に揺れる大統領アンヌ、母親との関係に悩む三姉妹らは、それぞれ幸せになるための決断をする。女性大統領アンヌを「ママはレスリング・クイーン」のオドレイ・フルーロが演じるほか、「パリ、恋人たちの影」のクロチルド・クロ、「スガラムルディの魔女」のカルメン・マウラ、「愛を綴る女」など監督業にも進出するニコール・ガルシアらが出演。
  • 批評家、映像作家

    金子遊

    隣の「パリ、嘘つきな恋」とは対照的に、同じフランス映画でも日々奮闘する女性たちを描いた群像劇。ベビーシッター、大学教授、お花屋さんといった働く女性が、仕事と家族と恋愛の間で葛藤し、自分なりの生き方を見つける姿を描く。が、女性大統領が登場したときに正直げんなりした。物語を通して伝わってくるメッセージは尊いと思うが、それが作者の頭のなかに先にあり、映像や登場人物や物語がメッセージに従属しているように見える。それでは代理店がつくるCMと変わらない。

  • 映画評論家

    きさらぎ尚

    「奇跡の教室受け継ぐ者たちへ」と今作しか見てないが、監督・脚本のM‐C・M =シャールは、日常、あるいはそのすぐ近くに題材を見つけ、群像劇にするのが得意と推察する。パリの生きのいい女性たちをひと皮めくり、子を持つ人にも持たない人にも自分が命を授かった母親の存在を通して、個々人の幸せを見つけさせるのだから。母になった女性大統領は言う。「4年後国民は母親を選ぶでしょう」と。女性が母親業と仕事のどちらかの選択を迫られなくて済むようにとのメッセージに共感。

  • 映画系文筆業

    奈々村久生

    「家族」というより「母親」たちの群像劇。日本よりは女性が子供を生んでも生きやすいとされているフランスでも、母親になる選択と向き合う個人的・社会的試練は同じ。登場人物の多さはそのまま生き方や選択肢の多様性を意味し、ややサンプルケースのカタログっぽく見えなくもないが、カタログを作ること自体には意味がある。女性賛歌は何の解決にもならない。子供を持つことがリスクよりも可能性でありますように、またそれと同じぐらい子供を持たない意志や権利も尊重されますように。

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