イングランド・イズ・マイン モリッシー,はじまりの物語の映画専門家レビュー一覧

イングランド・イズ・マイン モリッシー,はじまりの物語

ザ・スミスのボーカリスト、スティーブン・モリッシーの若き日を描く青春音楽映画。1976年、英国マンチェスター。高校を中退したスティーブンは、ライブの批評を音楽紙に投稿していた。ある日、美大生リンダーと出会い、彼女の後押しでバンドを結成する。出演は、「ダンケルク」のジャック・ロウデン、ドラマ『ダウントン・アビー』のジェシカ・ブラウン・フィンドレイ。2017年エジンバラ国際映画祭クロージング作品。
  • ライター

    石村加奈

    雨の街・マンチェスターで、学校でも職場でも、ライブハウスでも馴染めず、鬱々と暮らす17歳のスティーヴンのナイーヴさ。後にザ・スミスのフロントマン、モリッシーとなる主人公の魅力を「ダンケルク」(17)のジャック・ロウデンが繊細に表現する。遂にジョニー・マーと出会うシーンがドラマチック。無人の世界の静けさに呑まれることなく、自分のリズムでマーの家の扉をノックするスティーヴン。モリッシー家の玄関の飾り窓もさりげなく美しかった。美術はヘレン・ワトソン。

  • 映像演出、映画評論

    荻野洋一

    80年代前半、ザ・スミスがマンチェスターから登場した時のことはよく覚えている。高校生の私は“これでポストパンク=ニューウェイヴはメランコリックなギターロックに収束したな”と観念し、その分の愛情も映画に注ぐことにした。本作はその前史だ。モリッシーはNME紙で音楽評論を書き、ザ・スミスは結成さえされず。このアンチカタルシスはのちの「ボヘミアン・ラプソディ」へのアンチテーゼたり得る。だとしても雌伏に終始するにせよ、映画としての肉が物足りない。

  • 脚本家

    北里宇一郎

    ザ・スミスのモリッシー。そのデビュー以前の時代を描いて。売り込みに成功してメデタシみたいなロック映画になってないところが面白く。音楽への想いとか表現力はあるのに、それをどうやって実現していいか分からない。その悶々鬱々の日常。就職しても場違いだったり、ライブが好評でも後が続かなかったりの挿話の数々が、普遍の青春像を感じさせて。彼を揺さぶる3人の女たちも上手く性格の色分けをされ、よきアクセントに。意外に地味な展開だけど、じわじわ沁みてくる青春映画の佳作。

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