The Crossing ザ・クロッシング PartIの映画専門家レビュー一覧

The Crossing ザ・クロッシング PartI

「レッドクリフ」のジョン・ウーが監督、第二次国共内戦を背景にした戦争ドラマ前編。運命的な出会いをした国民党将校レイとユンフェン、医師ザークンと幼馴染の雅子、行方不明の恋人を探すユイ・チェンに協力する兵士トン・ターチンは時代に翻弄されていく。「グリーン・デスティニー」の脚本家ワン・ホエリンの原案を基に、戦争下3組の男女の移りゆく愛を描く。「レッドクリフ」の金城武、「コンフィデンスマンJP -ロマンス編-」の長澤まさみ、「グランド・マスター」のチャン・ツィイー、「僕の、世界の中心は、君だ。」のソン・ヘギョら東アジアのスターが集結。
  • 翻訳家

    篠儀直子

    登場人物の掘り下げがなく、ありきたりのメロドラマの型をなぞる何の味もしないストーリーが進んでいくだけで、映像の華麗さはひたすら空虚さを呼びこんでしまい、これでは誰も後篇を観たくならないのではと心配になる。とはいえ、路上で雪空を見上げるチャン・ツィイーからパーティー会場へとつながる、魔法のような移動ショットは必見レベル。抗日戦争も国共内戦も「敵の顔が見える」描写になっていることと、戦争と階級の問題がからんでいることは、独自の目線が感じられて面白い。

  • 映画監督

    内藤誠

    中国国共内戦を描く物語は毛沢東側から見るものが多かったので、敗者の視点から見るこの作品には期待。ジョン・ウーの演出だけあって、戦争スペクタクルの表現は充分だが、三組の男女のメロドラマの方は映像の美しさに頼りすぎて、内容的にはもの足りない。まずメインのホアン・シャオミンが演じる国民党の将校と銀行の礼嬢ソン・ヘギョとの上海の舞踏会でのめぐり合いはいいとして、彼女が台湾へ逃げていく過程は上流階級の物欲や要領のよさがきれい事すぎる。岩代太郎の音楽が効果的だ。

  • ライター

    平田裕介

    悪く言えば何から何まで大仰、よく言えばとめどなくクラシカル。そしてメロメロを極めたメロドラマなのだが、それがジョン・ウーならではの語り口にビシッとハマっている。彼の作品に夢中になった身としては「マンハント」でも感じたことだが、スロー&ストップモーション、子供の合唱、ヒネった形で登場する鳩といったウーのイズムが健在なのが嬉しい限り。ただし、前篇は戦闘シーンをクライマックスに持ってきているが物語に盛り上がりはなく、キャラ群と相関の紹介に終わっている。

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