The Crossing ザ・クロッシング PartIIの映画専門家レビュー一覧
The Crossing ザ・クロッシング PartII
「レッドクリフ」のジョン・ウーが監督、第二次国共内戦後期に起きた太平輪沈没事件を軸にした戦争ドラマ後編。ユイ・チェン、イェン・ザークン、トン・ターチンら千人近い乗員乗客を乗せた上海から台湾へ向け出航した大型客船・太平輪号が貨物船と衝突する。「グリーン・デスティニー」の脚本家ワン・ホエリンの原案を基に、時代に翻弄される3組の男女を描く。「レッドクリフ」の金城武、「グランド・マスター」のチャン・ツィイーら東アジアのスターが集結。
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翻訳家
篠儀直子
序盤は前篇と完全に重複?と最初びっくりするが、よく見ると付け足しがちょこちょこあって、その付け足し部分で丁寧な心理描写がされている。つまり、前篇で完全に欠落していた情感や葛藤が全部こちらにつぎこまれている格好で、個人的には前篇よりも感情移入できた。とはいえ船が沈没してからが長すぎるし、そもそも前後篇がこんなに不均衡なのはいいことではないし、多少長くなっても一本にまとめるべきだったのではないか。ジョン・ウーのどことなくシュールなセンスはさらに全開。
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映画監督
内藤誠
前作は戦闘場面に力が入っていたが、第2部は台湾へと逃亡移住する人たちの話が中心になり、期待感が増した。上海から台湾へ行く大型客船、大平輪号に乗り込む運賃がいかに高価だったかは、チャン・ツーイーの必死な演技で表現される。船は積載量オーバーで出港。規制を避けるために夜間も無灯火で航行。人間のエゴイズムむきだしのせいで他の貨物船と衝突してしまう。ジョン・ウー監督のタイタニック号事件と張り合う演出が展開し、日本に帰国した長澤まさみの物語が軽くなった。
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ライター
平田裕介
大風呂敷を広げに広げてキャラクターを紹介するだけで終わった前篇。後半では題名通りに交差しては遠く離れてみたいのを繰り返すのかなと思いきや、前篇の場面を使ったダラダラとした復習を強いられ、ふと気づけばクライマックスの太平輪号にオール・アボード。そこでもキャラクターたちの人生模様が波瀾万丈に交差するわけでもなく、そのまま太平輪号は沈んでいきましたとさ……という感じ。沈没の描写はしっかりしているのに、話が締まらないのでどうしたって燃え上がらないのだ。
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