エキストロの映画専門家レビュー一覧

エキストロ

茨城県つくばみらい市の巨大ロケ施設を舞台にエキストラの世界を描くフェイク・ドキュメンタリー。歯科技工士の荻野谷は、エキストラとして映像作品に出演することに情熱を燃やしている。ある日、彼が所属する事務所のエキストラが、刑事事件の容疑者となる。出演は、映画初出演の萩野谷幸三、「スタートアップ・ガールズ」の山本耕史、「最初の晩餐」の斉藤由貴、「決算!忠臣蔵」の寺脇康文。監督は、ドラマ『透明なゆりかご』の村橋直樹。脚本は、「Diner ダイナー」の後藤ひろひと。高雄映画祭、タリン・ブラックナイツ映画祭、ハイナン国際映画祭、沖縄国際映画祭、京都国際映画祭正式出品作品。
  • フリーライター

    須永貴子

    モキュメンタリーの醍醐味は、フィクションをドキュメンタリーのように仕立てることで、ドキュメンタリーでは撮影不可能な内容に生々しさを与え、観客にリアルな“感覚”や“感情”を味わわせることにある。だからホラーやオカルトと相性がいいわけで。しかし、本作にはモキュメンタリーにする必然性が希薄かつ、皮肉にも実名起用された有名俳優たちの“芝居”がフィクション感を色濃くしている。そもそも論として、エキストラを主人公にしたコメディ・ドラマでよかったのでは。

  • 脚本家、プロデューサー、大阪芸術大学教授

    山田耕大

    フェイク・ドキュメンタリー、制作者の言う「モキュメンタリ―」の快作である。ドキュメンタリーのように始まるが、これがやらせであるのが間もなくわかってくる。その面白さがまたいい。ある意味おふざけな作品に市長までも出演して全面的に協力しているつくばみらい市が素敵だ。行ってみたくなる。ロケ場所に店を貸しながら、出来上がった映画がイメージを損なうとして上映を差し止めたモスバーガーと比較したくなる。肝心なのはイメージではなく、味では? この映画に乾杯!

  • 映画評論家

    吉田広明

    エキストラを巡るドキュメンタリーかと思わせて実はコメディというフェイク・ドキュメンタリー。吉本製作だし、くすぐりネタの連鎖に有名人のゲスト出演と、なんだか『笑ってはいけない』シリーズを想起させる。ネタが横滑りで展開してゆくだけで深まらないし、人物のキャラも立たないので90分見ても何も残らない。かつての松本人志の映画には、特撮や時代劇への彼の違和感を無理やり拡張してジャンルの根拠を問うという批評性があったが、それは望むべくもない。

1 - 3件表示/全3件

今日は映画何の日?

注目記事