Winnyの映画専門家レビュー一覧

Winny

革新的ファイル交換ソフト“Winny”開発者の不当逮捕と戦った人々の実話を映画化。“Winny”による違法アップロードが社会問題化。逮捕者が続出する中、著作権法違反幇助の容疑で開発者の金子勇が逮捕され、弁護士の壇俊光らが弁護団を結成する。出演は「草の響き」の東出昌大、「夜明けまでバス停で」の三浦貴大。監督は「ぜんぶ、ボクのせい」の松本優作。
  • 映画・音楽ジャーナリスト

    宇野維正

    「実際の事件に基づく映画」で肝心なのは「どの事件を取り上げるか」と「それをどう描くか」の二つだが、その前者において本作は日本映画として稀に見る有意義な作品。どうして現在の日本産業界がこんな体たらくになってしまったのか。報道で知ったつもりになっていたWinny事件が、丹念に掘っていけばその核心を抉るような出来事だったことに刮目させられた。画的には地味になりがちな題材を、またしても東出昌大の好演がカバー。世間の評価と実力にこれほど乖離がある役者もいない。

  • 映画評論家

    北川れい子

    格別ネット上の専門用語が多いわけではないし、主人公の逮捕容疑は、彼が開発した“Winny”をめぐる著作権法違反幇助。けれどもハイテク絡みの情報はからきしお手上げのこちらとしては、実話の映画化と承知していても、事の重大さが?みきれず、警察の尋問調書をめぐる問題も加わり、混乱する。それだけに渦中の人になってしまう主人公役、東出昌大の、世間の雑音に動じない飄々とした演技が際立つ。そういえば並行して描かれる県警の裏金作りも実際に起こった事件だった。

  • 映画文筆系フリーライター。退役映写技師

    千浦僚

    主人公のコッテ牛の如き御しがたさと特異能力に「ファイヤーフォックス」のミッチェル・ガントを想起。イーストウッドの映画というかC・トーマス原作の、この胡乱な奴は大丈夫かと疑う傍の人物が、あるときガントが戦闘機に乗りたいという渇望をむき出しにしたことで、この男だと腑に落ちたあの感じ。個の突出と無目的な発明(根底にはフラットさの志向)に対立する警察的取り締まりの構図。そういう人物造形と関係性描写が「REVOLUTION+1」にも欲しかった。

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