パラサイト 半地下の家族の映画専門家レビュー一覧

パラサイト 半地下の家族

第72回カンヌ国際映画祭にて最高賞パルムドールを受賞した、「オクジャ/okja」のポン・ジュノ監督によるブラックコメディ。全員失業中で半地下の部屋に暮らす貧しいキム一家の息子ギウは、友人の代理で高台に住む裕福な家の家庭教師を務めることになり……。仕事がなくても楽観的な父を「タクシー運転手 約束は海を越えて」のソン・ガンホが演じる。第92回アカデミー賞国際長編映画賞(旧・外国語映画賞)、脚本賞、監督賞、作品賞の4冠を韓国映画として初受賞。
  • 非建築家、美術家、映画評論、ドラァグクイーン、アーティスト

    ヴィヴィアン佐藤

    私が言うに及ばずエンタテインメントとして傑作。最近では「サスペリア」、「エル ELLE」などにも該当するフロイト/ヒッチコック「サイコ」の教科書的構造。無意識「イド」の地下空間、道徳や社会のルールに従う「超自我」の地上階、両方を調整する「自我」の半地下。三つの家族はそれらを体現し、現代の韓国社会の引き裂かれた三様を照らす。北への抑止力ミサイルよりも、スマホで撮られた写真、もしくは気候変動による滂沱の大雨が、韓国社会を崩壊させていく。お見事!

  • フリーライター

    藤木TDC

    格差社会を映像で可視化し、笑いと怒りを共存させた堂々たる風格の重喜劇。あえて難癖すれば、こうした内容の映画が莫大な予算で大作として撮られ、金持ちたちに絶賛されている様は釈然としないし、底辺層が耐えてばかりの格差映画はもはや陳腐で、それだから優れているとの評価はできない。結末のアイデア欠如も本作の不足要素で、下層民は夢を見るしか希望がないとする後段は庶民を絶望させ、監督の限界を感じた。すべてが逆転する痛快で衝撃的なオチがあれば★5を献上したが。

  • 映画評論家

    真魚八重子

    ポン・ジュノの新作というだけで絶対観ようと思わせる監督であり、本作も強烈な作家性と大胆な物語設定は、充実感があり頭に焼き付く。リアリティではなく構成の上手さとメッセージ性の映画であるのもわかる。しかし、箱庭いじりを眺めているような視野狭窄の感覚は、一度乗り損ねるとずっと世界観に入り込めないままになってしまった。近年のポン・ジュノが海外で撮った作品と同じくシュールさの土台や、階級差社会を本当に文言通り表現した作り込みが、やりすぎに見えて冷める。

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