私の知らないわたしの素顔の映画専門家レビュー一覧

私の知らないわたしの素顔

ジュリエット・ビノシュ主演のサスペンス。50代の大学教授クレールは、恋人との別れをきっかけに、SNSの世界に足を踏み入れる。“24歳のクララ”に成りすまし、若い男性と知り合うクレール。ところが、“24歳のクララ”と彼が恋に落ちてしまい……。共演は「パリの家族たち」のニコール・ガルシア。原作は、権威あるフランスの文学賞、フェミナ賞受賞作家カミーユ・ロランスの小説。
  • 映画評論家

    小野寺系

    心理的なサスペンスと恋愛要素を描きながら、実際にはジュリエット・ビノシュの少女のようなときめきと、ギャップとして表れる!顔に刻まれたシワをクローズアップで映し続ける映画だ。それである程度成立させられるというのは、彼女の力として感嘆するほかないが、演出においては重要な部分がセリフで語られる箇所が多く、不満が残る。意中の男性に透明人間のように自然に無視されるシーンのせつなさは胸に迫ったので、もっとこのような映像的な見せ場が欲しかった。

  • 映画評論家

    きさらぎ尚

    いまやSNSは誰もが見ず知らずの人と繋がれるネットワーク・ツールに。その善し悪しはさておき、おそらくヒロインのような女性は珍しくない。捨てられた50代の自分が、24歳の自分をSNSの中に創り(なりすます)、結果、図らずも若い男性に愛されるバーチャルな自分によって、50代のリアルな生の輝きを回復させるという筋書きは、いかにもありそう。冒険心をくすぐるSNSの世界と、ラブストーリーとが絡み合ったこの物語には、いまの時代ならではの人間の真実があるかも。

  • 映画監督、脚本家

    城定秀夫

    序盤のSNS擬似恋愛物語、中盤以降のあらかじめ失われた有り得たかもしれない物語、最後にたどり着く真実の物語……そのどれもが下世話で生々しく、嘘にまみれているがゆえに切なく、このエグ味こそが恋愛の真実だと感じさせる説得力のある脚本は、周到に仕掛けられたギミックも含めて見事だと思うし、端正ながらここぞという時に大胆になる演出の素晴らしさに加えて、メガネ熟女ビノシュが、もう可愛いやらエロいやらで、自分が求めているオモシロ映画の理想形に極めて近かった。

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