グッドライアー 偽りのゲームの映画専門家レビュー一覧

グッドライアー 偽りのゲーム

ニコラス・サールの小説『老いたる詐欺師』をイアン・マッケラン&ヘレン・ミレン共演で映画化したサスペンス。ベテラン詐欺師のロイは、未亡人となった資産家のベティから全財産を騙し取ろうとする。ところが、事態は思いがけない方向へ発展していき……。監督は「美女と野獣」「Mr.ホームズ 名探偵最後の事件」のビル・コンドン。
  • ライター

    石村加奈

    H・ミレンとI・マッケラン、芸達者な二人の、巧妙な騙し合いに、まんまと乗せられてしまった。デートで「イングロリアス・バスターズ」(09)を観たり、ノーセックスだけど、キッチンで恋人の髪を切ってあげるという甘やかな行為など、ちょっとした違和感もすべて計算ずくだったとは! 能面のようなミレンの顔を思い返すと、改めて震撼。すっかり騙されて“ああ、面白かった”とは終わらないところが“オトナ”のライアー・ゲームたる所以か。人に歴史あり、後味はたいそう苦い。

  • 映像ディレクター/映画監督

    佐々木誠

    イアン・マッケラン扮する詐欺師の老人が、ネットで出会った世間知らずの資産家の老女を騙す、という構造で物語は進むが、老女をヘレン・ミレンが演じている時点で、なんとなく展開は読める(日本版予告篇はミレンを軸とした内容だが……)。予測はできるが最後までスリリングなのは、やはり2人の裏の裏まで計算され尽くした巧妙な演技テクニックとそのアプローチの違う組み合わせの妙だろう。前半のユーモラスなやりとりのほのぼの感に騙され、ラストは心底ゾッとした。

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