ロニートとエスティ 彼女たちの選択の映画専門家レビュー一覧

ロニートとエスティ 彼女たちの選択

「女王陛下のお気に入り」のレイチェル・ワイズが主演・製作を兼任したヒューマンドラマ。厳格なユダヤ・コミュニティに生まれ育ったロニートとエスティ。惹かれ合いながらも信仰のもとに引き裂かれた2人は数年ぶりに再会。封印していた熱い想いが再燃する。共演は「スポットライト 世紀のスクープ」のレイチェル・マクアダムス、「ビューティフル・デイ」のアレッサンドロ・ニヴォラ。監督は「ナチュラルウーマン」のセバスティアン・レリオ。
  • ライター

    石村加奈

    あるべきところで、音楽が鳴る喜びにあふれている。生徒たちの澄んだ歌声につられて、一緒に口ずさむエスティの笑顔。何年かぶりにロニートが足を踏み入れた実家の、息の詰まりそうな中、ラジオから流れてくる、あかるいポップス。ユダヤ教の理解の足りぬ筆者には、彼女たちが生きることを祝福されていると感じた。しかし深く心に残っているのは、再び故郷を離れる決心をし、きつく髪を結ぶロニートの横顔と、墓地でのラストカットだ。厳然としたカメラワークは、ダニー・コーエン。

  • 映像ディレクター/映画監督

    佐々木誠

    冒頭、ロンドン近郊のシナゴーグでラビが倒れる。その最後の説教は「人は自由意志を持っている。だが、選択は特権であり重荷である」という内容だった。そこから、NYに住むロニートのある一日が描写され、物語が進み始めるのだが、この流れ、その細部に、テーマの本質が垣間見える。主役である3人、そしてロニートの父親であるラビ、それぞれの人生が決して饒舌ではない誠実な演出から滲み出ていた。「自由」に縛られ、不自由を生きる者たちの選択、その解放と痛みが胸に迫る。

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