スキャンダル(2019)の映画専門家レビュー一覧
スキャンダル(2019)
米国のテレビ局FOXニュースで起きた実話を映画化した社会派ドラマ。元人気キャスターのグレッチェン・カールソンがCEOのロジャー・エイルズを提訴する。メディア業界に激震が走るなか、売れっ子キャスターのメーガン・ケリーは心中穏やかではなく……。出演は、「モンスター」のシャーリーズ・セロン、「めぐりあう時間たち」のニコール・キッドマン、「アイ、トーニャ 史上最大のスキャンダル」のマーゴット・ロビー、「愛と追憶の日々」のジョン・リスゴー。監督は、「トランボ ハリウッドに最も嫌われた男」のジェイ・ローチ。
-
ライター
石村加奈
このスピードで、こういう実録映画を作れるのがアメリカの懐深さだ。S・セロン、N・キッドマン、M・ロビー、三世代のヒロインそれぞれの華麗なる結末も見事。女同士で徒党を組む、作中の台詞を借りれば「スポットライトをシェアする」のではなく、自分らしく問題を解決する知的な姿勢にも好感を覚えた(3人がエレベーターで一緒になるシーンのヒリヒリするような緊張感!)。セロンの変貌ぶりも鮮やかだが、グレーなポジションを好演するK・マッキノンが、作品に奥行きを与える。
-
映像ディレクター/映画監督
佐々木誠
16年に起こった実際のFOXニュースのセクハラ事件を映画化した本作。たった3年で実在の人物と架空の人物が交錯する娯楽作として練られた脚本を完成させ、シャロン、キッドマン、ロビーを主演に揃えた、このスピード感。それは、この間に起こったMeToo運動などのムーブメントの凄まじさを物語っている。“スキャンダル”が報道されるまでの3人のキャラクターに焦点を当て、じっくり描いているが、彼女たちが唯一顔を揃えるのが、上下に移動するエレベーターというのが意味深い。
1 -
2件表示/全2件