ワイルド・ローズの映画専門家レビュー一覧

ワイルド・ローズ

実在の人物をモデルに、カントリー歌手を目指すシングルマザーが、その卓越した歌唱力で夢に近付いていく様を映す音楽ドラマ。アメリカで歌手として成功を夢みるローズ。だが、不器用にしか生きられない彼女は、愛する母や幼い2人の子供たちを時に傷つけてしまう。出演は「ジュディ 虹の彼方に」のジェシー・バックリー、「ホテル・ルワンダ」のソフィー・オコネドー、「ブルックリン」のジュリー・ウォルターズ。監督は「イントゥ・ザ・スカイ 気球で未来を変えたふたり」のトム・ハーパー。
  • 映画評論家

    小野寺系

    口元のシワに反骨精神がにじむ、ジェシー・バックリー演じる主人公の魅力が炸裂! 彼女が人間的成長を遂げる描写が柱となっていて、善き人間へのステップを段階的に踏む丁寧さが良い。一方で、スコットランドのカントリーシンガーという設定が、かろうじて作品の社会的意義を成立させながらも、音楽への具体的見解が希薄なため、他の文化でも代替可能に見えてしまう。カントリーという題材が映し出すはずの英国の移民問題については消極的表現にとどまった。

  • 映画評論家

    きさらぎ尚

    英国のグラスゴーでカントリー・シンガーを夢見る女性が米国ナッシュビルでデビューを果たすまでのサクセス・ストーリーと思いきや、まるで違う。嬉しいことに、話はそれほど平凡ではなかった。日常の決して甘くない現実をいっぱいに詰め込んで描く、在るべき場所を探すことが主題の、生活感あふれるミュージカル。主題にたどり着くまでが少々まわりくどいが、この間、ヒロインのJ・バックリーの魅力がそれをカバーする。そういえば「ジュディ 虹の彼方に」でも存在が光っていた。

  • 映画監督、脚本家

    城定秀夫

    刑務所帰りの音楽好き不良シングルマザーが歌手になるまでのサクセスストーリーの軸として描かれるのは子供を持つ女性が夢を追うことの難しさで、結果、母親としての成長物語にもなっている本作は、彼女の荒くれぶりとは対照的な柔らかい光に包まれた画面設計とジェシー・バックリーの歌声の美しさが印象的な音楽映画の秀作ではあるのだが、予め用意されているかのような結末に向かって障害を乗り越えながら進む物語は一本道で、終盤の駆け足展開にもやや都合の良さを感じてしまう。

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