ANNA アナの映画専門家レビュー一覧

ANNA アナ

リュック・ベッソンが製作・監督・脚本を務め、女暗殺者の死闘を描いたアクション。1990年、ソ連諜報機関KGBの女暗殺者アナは、数々の任務を遂行する一方、持ち前の美貌でトップモデルに上り詰める。だがある日、米国のCIAの罠に落ちてしまう。主演は数々の高級ブランドのモデルを務めるロシア出身のスーパーモデル、サッシャ・ルス。「ワイルド・スピード ICE BREAK2」のルーク・ウィルソン、「ダンケルク」のキリアン・マーフィ、「グッドライアー 偽りのゲーム」のヘレン・ミレンが共演。
  • 映画評論家

    小野寺系

    子供が考えたのかと思うリアリティのない設定や展開は、ベッソン映画のいつもの形なので、そこを頭から否定しても始まらない。だが今回はアクションの説得力も薄く、大勢の敵を撃ち倒していく見せ場については、悪漢が次々に自分から斬られに行くタイプのチャンバラと同じもの。強い女性の姿を見せたり、自立する生き方に目覚めさせるテーマは現代的に思えるが、根本的に女性の若さや美貌に拘泥する“オッサンの視線”があるのが描写の端々から分かるため、心には響いてこない。

  • 映画評論家

    きさらぎ尚

    最近注目の、頭が良くて美人で肉体的にも優れて強いヒロインたち。どれを取っても自分とは真逆なので、感情移入が難しいのだが、二重スパイ、アナの場合もそれに近い。特に有り得ない超絶アクション・シーンは冷え冷え。この点と相まって、強さで生き残る女性に比べると、KGBもCIAも男性には物足りなさも。もっともアンヌ・パリローやミラ・ジョヴォヴィッチなど、これまでのヒロインを軸にしたベッソンの作風を考えれば、さほどのことではあるまい。その分目新しさに欠けるが。

  • 映画監督、脚本家

    城定秀夫

    「ニキータ」その他、自身の過去作品をごった煮し、スパイスにエロスをひと振り、終盤はヤケクソ気味なドンデン返しを尺が満ちるまでしつこく繰り返し、マシュー・ヴォーンあたりにゃまだまだ負けんというベテランの気概を漲らせながらも微妙に野暮ったくなってしまっているやりすぎアクションシーンもまたベッソン印で、ここまでくるとほとんどセルフパロディなのだが、だからつまらないということはなく、自家中毒の果てにある清々しさを獲得したかのような楽しい娯楽映画だった。

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