zk 頭脳警察50 未来への鼓動の映画専門家レビュー一覧
zk 頭脳警察50 未来への鼓動
ロックバンド、頭脳警察の50年の足跡をドキュメンタリー映画化。1969年、PANTAとTOSHIによって結成され、1975年の解散後は離合集散を繰り返している頭脳警察。2019年、若きミュージシャンとともに再始動した彼らの現在と過去を追う。監督・編集は、「チンピラ」の末永賢。
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映画評論家
川口敦子
目の上のたんこぶ的世代の伝説的存在として同時代的には素通りしていたディランに迫ってアメリカとその時代をも堪能させてくれたスコセッシ「ノー・ディレクション・ホーム」と同様に、頭脳警察以上にそこで追われる時代がスリリングに迫ってくる。アメリカが近くにあったと基地の子PANTAが現地再訪で振り返る米軍軍曹とハモニカの思い出は、アメリカ映画の記憶とも重なるようで他人事でなく胸に迫る。傍らの人TOSHIの軽みの重さ、その貴重さを掬う眼差しも面白い。
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編集者、ライター
佐野亨
PANTA、TOSHI、次々登場する豪華な顔ぶれ、語られていることばはもちろん興味深いのだが、ほとんどが三脚も使用せずブレブレ。要するに、立ち合ったイベントで急きょ撮影した映像を話が通るようにつないでみせた、という以上のたくらみがない(頭脳警察を撮るのにお行儀よくやれとは言わないが)。クリミアでのライブにせよ、水族館劇場での50周年1stライブにせよ、そこでのことば、音楽を受けて、映画がどうそれに拮抗する表現たりうるかが重要なはずではないか。
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詩人、映画監督
福間健二
厚ぼったく年をとらない方がいいとしたら、PANTAは容貌も半世紀にわたる活動からおびる情報量も大変なことになっている。だが、彼はいいのだ。戦果の自認とオマージュに溺れることなく、茶目っ気ありの人としてすっきりしたところに抜けている。TOSHIとの頭脳警察。若いメンバーも入れて助けられていると思う。過去のこと、おもしろい話もあるが、とくに発見はない。整理に追われた感じの末永監督。この数年の「現在」がどう勝負になっているかを際立たせてほしかった。
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