ライフ・イズ・カラフル! 未来をデザインする男 ピエール・カルダンの映画専門家レビュー一覧

ライフ・イズ・カラフル! 未来をデザインする男 ピエール・カルダン

    ファッションデザイナー、ピエール・カルダンの素顔に迫るドキュメンタリー。今も現役で活躍する97歳のレジェンドに密着。秘蔵映像や豪華ゲスト陣のインタビューを交えながら、未来的なコスモコール・ルックで若者を熱狂させたモード界の革命児の半生を辿る。監督は「HIT SO HARD/HOLEのドラマー、パティ・シュメルの生と死の物語」のP.デビッド・エバーソールとトッド・ヒューズ。
    • 映画評論家

      小野寺系

      洗練されたファッションを大衆化し、ジャンルの領域を拡大したデザイナーの先見性が、まさにそれが達成されつつある現代の価値観のなかでとらえ直される。格式や人種、体型などにこだわらない感覚や姿勢の確かさは最近の世の中の流れに合致し、打ち破るべき保守性を打破する役割を担ってきた人物だということが分かる。今昔の写真や映像、著名人のインタビューが並べられるオーソドックスな構成だが、既成概念を乗り越えることの重要性が具体的に示される、意義ある内容だ。

    • 映画評論家

      きさらぎ尚

      当時人気絶頂のザ・ビートルズのスーツのデザイナーとして名前を知り、田舎町の高校生だった自分が初めて知った海外のブランドだった。加えて眺める対象だった他の超高級ブランドに対し、地方都市のデパートで買うこともできた。カルダンがオートクチュールとしてでなく、プレタポルテで業界に参入したから若い女の子が手にできたのだと映画でその理由を再認識。多彩なゲストがこのことを含めた功績を語り、軌跡を映すカラフルな映像は、服飾を超えたカルチャーの、楽しめる記録だ。

    • 映画監督、脚本家

      城定秀夫

      若くして世界的な成功を収めているピエール・カルダンのドキュメンタリーであるから、素材はタップリ、頭からケツまで天才神話と革命的な功績を要所のみ隙間なくびっちり詰め込んでもこの尺では駆け足になるのは自明で、パーソナル面はジャンヌ・モローとの破局にわずか触れる以外はデザイナー、実業家としての仕事を通した横顔として描かれるにとどまるも、100歳に迫らんとしている今なお現役で自ら現場を指揮し、飄々と「私は芸術家になりたい」と答えるその魂には感動しきり。

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