蒲田前奏曲の映画専門家レビュー一覧
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フリーライター
須永貴子
4人の監督による連作長篇をトータルで評価するのは難しいが、映画業界への愚痴をぐだぐだと垂れ流す最終章が、全体をぶち壊していることは間違いない。主人公が売れない女優の蒲田マチ子で、舞台が蒲田という最低限の設定くらいは守ってほしかった。夢を追うマチ子が女友達と休日を過ごして人生に惑う「第2番」(マチ子の友人を演じる伊藤沙莉の切れの良い咆哮をのらりくらりと煙に巻く山本剛史との言い争いはちょっと別格)と、me too 映画の「第3番」は評価したい。
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脚本家、プロデューサー、大阪芸術大学教授
山田耕大
何の予備知識もなく見ていたので、どうにもつなぎが歪な作品だろうと首をひねっていたら、最後の一篇でやっとこれがオムニバスだとわかった。オムニバスは難しい。成功した例もあまりない。見る側としては、ある一つの観点から見たいのに、篇ごとにバラバラだと気持ちが分散してしまう。だから、話はまちまちでも各篇に一貫して通じるテーマなりモチーフなりがないとうまくいかないのだ。女性の生き方アラベスクというのか、それぞれに興味深い女性たちが出てくるだけに惜しい。
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映画評論家
吉田広明
オムニバスにありがちだが、各監督の個性がバラバラ。それでも何か突出したものがあれば看過されるのだが、結果的には残念なものに。一人の女優の個性を描きたいのか、蒲田という土地の個性を描きたいのか。コンセプトに関して予め監督間でコンセンサスを得ておくべきだった。監督の個性を尊重といえば聞こえはいいが、丸投げで勝手気儘にやらせた印象。特に第四話に関して問題ありと見る人もいるかもしれないが、第四話だけの問題ではない、製作者の無策が全体を不明瞭にしている。
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