東京バタフライの映画専門家レビュー一覧

東京バタフライ

かつて同じ夢を追いかけた若者4人のその後の人生を謳い上げるヒューマンドラマ。些細な行き違いから解散してしまった4人組の人気大学生バンド。あれから6年、20代後半となった彼らはそれぞれの道を歩んでいたが、ふとしたきっかけで再び集まることになる。出演は、シンガーソングライターとして活動する白波多カミン、『魔進戦隊キラメイジャー』の水石亜飛夢、「菊とギロチン」の小林竜樹。監督は本作が初長編となる佐近圭太郎。
  • 映画評論家

    北川れい子

    よくある設定。よく聞く台詞。お馴染みの挫折。おなじみの未練。過去にケジメをつけるためのレコーディングもいつか見たシーン。そういう意味では、これからも繰り返されるに違いない普遍的な青春映画ではある。けれども、このシーンの後はこうなるだろうなと思っていると、台詞までほとんどこちらの予想通りで、うーん、困った。1990年生まれという佐近監督の身近な題材なのだろうが、燃焼しきれないまま現実と妥協するとは、30歳、早すぎる。ムダに長回しが多いのも気になる。

  • 編集者、ライター

    佐野亨

    白波多カミンと松本妃代、この二人の表情(以前に顔立ちだろうか)がもつ豊かな「含み」が、語られていること以上の背景を観る者に読ませてしまう。それにくらべると、男性陣は一様に茫洋としていていまひとつ面白みに欠ける。それぞれの生活を歩み始めたバンドメンバーが、いかなる感情の変化を経て再集結を果たすかが物語の肝だろうが、そもそもなぜ彼らが音楽に執着するのか、その依って来るところがわからない。生活と音楽、もっと根源的な部分でつながっているはず。

  • 詩人、映画監督

    福間健二

    勝負は、現実にシンガーソングライターである白波多カミンの魅力をどう見せるかだったろう。細身、控えめ、幼そうな感じと芯のつよさの同居など、言ってしまえばフェアリーテール的なものを呼び込んでいるのに、話の展開は現実の大変さに対して飛ぶところがない。でも負けっぱなしでは終われないね、というもの。佐近監督、手堅すぎる。最後の歌がもうひとつ迫ってこない。音楽、なぜやるのか。「根拠なき使命感」という言葉が放たれる。それを映画の表現として叩きだしてほしかった。

1 - 3件表示/全3件

今日は映画何の日?

注目記事