ビューティフルドリーマーの映画専門家レビュー一覧

ビューティフルドリーマー

“監督絶対主義”を掲げ、本広克行らが立ち上げた新レーベル“シネマラボ”第1弾。文化祭前日の先勝美術大学。その喧騒をよそに、のんびり過ごしていた映画研究会だったが、古い段ボールに入った1本のフィルムを見つけたことから、思わぬ事態が巻き起こる。出演は「イノセント15」の小川紗良、「私がモテてどうすんだ」の神尾楓珠、「8日で死んだ怪獣の12日の物語 -劇場版-」の斎藤工。
  • 映画評論家

    北川れい子

    “映画をもっと自由に”という趣旨で、本広克行、押井守、小中和哉、上田慎一郎の4監督が設立した〈シネマラボ〉の第1弾の本広作品だが、ゴメン、スタッフ、キャスト全員が好き勝手をやっている監督不在の学生映画でも観ている気分。ま、話自体が映画など撮ったことがない映研の学生たちが、部屋で見つけた曰く付きの脚本で映画を撮ろうとしてのドタバタ劇ではあるが、中途半端に達者な若い俳優たちと、メリハリの希薄な筋立てによる進行は、実験性よりデタラメ感が強く、嗚呼!!

  • 編集者、ライター

    佐野亨

    冒頭、あの名作と似たような音楽が聞こえてきて、そっくりなカットが出てきたところでのけぞった。まさか、と思ったが、その後は映画による映画の自己言及がはじまる。しかし、段取りは極端に演劇的なので、そのずれがなんとも居心地わるい。で、やはりあの名作のあんな名場面やこんな名場面を再現してみせるのだが、観ているうちにそれに付き合わされている若い役者たちはいったいどういう心持ちでこれを演じているのか、と気の毒になってしまった。世迷言もいい加減にせえ。

  • 詩人、映画監督

    福間健二

    大学の映研で映画を作る話。未経験の学生がなぜこんなに急にプロっぽくやれるのか。作られていくもののそれなりのクオリティーとともに、そこがそもそも奇妙。いろんな映画作品のことがセリフで触れられるが、人物たちに共有されている「映画が好き」がピンと来ない。使われた押井守の習作的脚本の面白さも、本広監督の映画への思いも、よく見えない。それでも、現実に映画を作る女優小川紗良でなければ、というものはあって、こちらも監督の「勉強」をちょっとだけした気はする。

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