ノッティングヒルの洋菓子店の映画専門家レビュー一覧

ノッティングヒルの洋菓子店

ロンドンの人気デリ・オットレンギの全面協力による、洋菓子店が舞台のラブストーリー。名店で修業を積んだパティシエのサラと親友イザベラは自分たちの店を開くことに。ところが、サラが事故で急死。それでもイザベラは、サラの娘や母とともに準備を進める。監督は、本作が長編初監督となるエリザ・シュローダー。出演は、「輝ける人生」のセリア・イムリー、「暮れ逢い」のシャノン・ターベット、「チャーリーとチョコレート工場」のシェリー・コン、「マッチポイント」のルパート・ぺンリー=ジョーンズ。
  • 映画評論家

    小野寺系

    ロンドンの高級住宅街でお店屋さんを開く。しかも手作りのお菓子を売るという、鬼が金棒を振るってるような素敵な設定で、ショッピングやお茶の合間に気軽に観るのにちょうど良い雰囲気を放っている。年代の違う女性たちの奮闘や、多様な人種が登場するなど、現代的な要素も見受けられる。とはいえ、ここまで展開に工夫がない脚本も珍しいのではないか。主人公たちは当初こそ窮地に立たされるが、ひたすら順風満帆に進んでいく物語は、メルヘンとしても苦味がなく物足りない。

  • 映画評論家

    きさらぎ尚

    確かに、難題を解決しながら洋菓子店を開店する話ではある。だが、スイーツを作るだけの話ではなく、原題「Love Sarah」が示すとおり、亡き人サラの存在によってストーリーを動かすという発想が面白い。サラの娘、母親、共同経営者、シェフがそれらであり、サラと母親の関係修復がストーリーの軸をなす。キャストの程よいアンサンブルが心地良いし、なかでも母親役のセリア・イムリーの気風が豊かな物語性に貢献大。邦題を超えて、美味しいヒューマン・コメディだ。

  • 映画監督、脚本家

    城定秀夫

    大切な人に先立たれ者たちの悲しみや愛の再生を潰れた洋菓子店の立て直しに重ねたドラマを柱に、様々な人種が集まる現在のロンドンの情勢を絡める筋運びは流麗でストレスなく観ることができるし、キャスト、スタッフがみな丁寧な仕事をしている減点要素の少ない洒脱な映画に仕上がっているとは思うのだが、この品の良さがもの足りなさになっているとも思え、ところどころに置かれている大小の障害が次々と収まるべきところに綺麗に収まってゆく終盤の展開には少し鼻白んでしまった。

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