Malu 夢路の映画専門家レビュー一覧

Malu 夢路

謎めいた詩情とともにマレーシアと日本を往還する、ある姉妹の永年の確執の物語。幼い頃に離れ離れとなり20年ぶりに再会した姉妹。再び同居生活を始める2人だったが、ある朝、姉が目を覚ますとそこに妹の姿はなかった。数年後、妹の遺体が日本で発見され……。マレーシアのセオリン・セオ、メイジュン・タン、日本から「カツベン!」の永瀬正敏、「奥田民生になりたいボーイと出会う男すべて狂わせるガール」の水原希子が出演。音楽を「万引き家族」の細野晴臣が担当。監督は、第30回東京国際映画祭『アケラット-ロヒンギャの祈り』で最優秀監督賞に輝いたエドモンド・ヨウ。
  • 非建築家、美術家、映画評論、ドラァグクイーン、アーティスト

    ヴィヴィアン佐藤

    姉妹とその母親、三人の女性の生き方を通じて、狂気や無邪気性を孕む女性性の不確定さの映像化に成功。もはや線形的な時間や空間は存在せず、理想の幸福や正義さえ定義し得ない領域。あるのはぼんやりとした、しかし個体を超越した生命に対して忠実な本能としか言いようのない絶対的な重力。カインとアベルの姉妹版のようなこの現代の物語は、神話的であると同時にアジアや世界中至るところに存在しているのだろう。まるで器官なき女性の身体性で、昏く、生命に絶対服従する。

  • フリーライター

    藤木TDC

    深い考えなく選択すると間違いなく客席で退屈と後悔を味わうだろう。日本企業(朝日新聞)が出資しているためなのか、出来の悪い邦画にありがちな間延びした演出と動機の弱さに冒され、登場人物の行動も整合性がまるでない。横浜・野毛の有名なジャズ喫茶「ちぐさ」でロケされ永瀬正敏が店主役だが、全国的にその手の店の主は異性よりもレコードやオーディオを愛する人種で、作中の永瀬のような行動はしない。些細な例だが、そのように洞察と説得力の乏しさが隅々に透け出ている。

  • 映画評論家

    真魚八重子

    面白くなりそうな設定なのに、予告に使われるお気に入りのイメージを時折混ぜてつないでみたような内容。そこに必然がないので意味が?めず話が頭に入ってこない。意味のない動作が多く、つなげたショットに脈絡がないので、細かい時間の経過を理解するすべがなく戸惑う。結局どんな話で何を伝えたかったのか。「ちょっとスキャンダラスに思えることを取り入れてみたけれど、ほんとの興味はないので話が広がらない」といった?末に思えた。水原希子の美しさは見応えがあるが。

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