ホムンクルスの映画専門家レビュー一覧

ホムンクルス

山本英夫原作の同名コミックを実写映画化。記憶も感情も失くしたホームレスの名越の前に医学生・伊藤が現れ、第六感が芽生えるという頭蓋骨に穴を開ける手術を受けることに。手術を受けた名越が右目を瞑って左目で見ると、人間が異様な形に見えるようになる。出演は、「ヤクザと家族 The Family」の綾野剛、「カツベン!」の成田凌、「空に住む」の岸井ゆきの、「記憶の技法」の石井杏奈、「海難1890」の内野聖陽。監督は、「呪怨」シリーズの清水崇。
  • 映画評論家

    北川れい子

    馴染のない覚えにくいタイトルだが百科事典にも載っている錬金術絡みの用語だったとは。更に劇中、呪文のような言葉がいくつも登場、ついメモを取りたくなったり。そういう意味でもかなり人騒がせな作品だが、人間の深層心理のヴィジュアル化を含め、清水監督、今回は内容的にも大人向き。ザックリ言えばトラウマについての話で、そのトラウマも人間の見栄や弱さ、罪悪感といったものなのだが、錬金術師気取りの成田凌が記憶喪失の綾野剛を最後まで引っ張り回し、飽きさせない。

  • 編集者、ライター

    佐野亨

    VFXによるイメージ世界の構築は最初こそそれなりに新鮮だが、紙の上で展開されるマンガにくらべると、明らかに作り物である映像のそれは早々にのっぺりと退屈なものに感じられてくる。おそらく清水崇監督の眼目もそちらではなく、(「村」シリーズと同様に)いずれ劣らぬ若手演技陣の身体そのものでいかに不可思議なイメージをつくりあげるか、という点にあると見え、綾野剛と岸井ゆきのの関係性にフォーカスが合っていく後半から俄然面白くなる。惜しいバランスの作品。

  • 詩人、映画監督

    福間健二

    綾野剛と成田凌。よくやってると思った。ともかくこういう話、と納得させる導入部から、わかりやすいヤクザの組長のエピソードまでは、この二人ならではというもの。妙に重苦しくエグいJKのエピソードをはさんで、綾野演じる名越と成田演じる伊藤の「いまに至るまで」が明かされていくが、複雑に作りすぎている気もした一方で、いいセリフと見せる演技の応酬に引きつけられた。清水監督、切れ味もうひとつか。頭蓋に穴あけてみたいと私たちに思わせるほどの場面がないのも惜しい。

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