プリズナーズ・オブ・ゴーストランドの映画専門家レビュー一覧

プリズナーズ・オブ・ゴーストランド

園子温監督のハリウッドデビュー作でニコラス・ケイジ主演のアクション。悪党のヒーローは、一帯を牛耳るガバナーの支配から逃亡した女を連れ戻すことを命じられる。彼は特殊なボディスーツに身を包み、美しくも暴力的な世界“ゴーストランド”にたどり着く。出演は、「CLIMAX クライマックス」のソフィア・ブテラ、「私の中のあなた」のニック・カサヴェテス、「スリー・フロム・ヘル」のビル・モズリー。
  • 映画評論家

    上島春彦

    本気で褒める人は少ないにしても貶して終わりじゃもったいない。★を足す。園の妄想カタログに放射能が加わったのは例の原発事故以後だが、ここでも、進むのを阻止された大時計という細部やニック・カサヴェテスの異様な顔貌にそれが突出する。前者はどこか劇団維新派って雰囲気だがとりあえず無関係か。監督の抒情詩人的気質の炸裂をハリウッド的規模で堪能できるのは眼福である。ニコラス・ケイジのタマは英語でもボールだと知ったのはちょっとお得な豆知識。主演女優が色っぽい。

  • 映画執筆家

    児玉美月

    ニコラス・ケイジを迎えた本作も、相変わらず園子温的な悪趣味で毒々しい世界観に満ち満ちている。過去作でいえば最も想起されたのが「TOKYO TRIBE」あたりであり、底層に流れる主題系としては「ヒミズ」や「希望の国」とも結びつくだろう。しかし、その時代までのほとばしるような園子温作品と比べると、どうしてもエネルギーの減退が垣間見えてしまい、空虚感が否めない。園子温のハリウッドデビュー作としては、やや低迷な幕開けになったのでは。

  • 映画監督

    宮崎大祐

    ニコラス・ケイジのムダ使い。園子温がこの10年間、俳優のクリティカルな瞬間をすくいあげるという天才を捨てて、何ら特筆すべきことのない安っぽい映像センスと幼稚極まりなく下卑た悪ノリの汚泥によってスクリーンを汚し、来る日も来る日も己を省みることなく劣化し続けていたということはたまにしか氏の作品を見ない筆者もうすうす気づいてはいたが、事ここに至る。まったくもって言語道断の105分間であり、作品レベルでも倫理レベルでもこれより醜悪な代物はなかなかない。

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