MISS ミス・フランスになりたい!の映画専門家レビュー一覧
MISS ミス・フランスになりたい!
ジェンダーレスモデル、アレクサンドル・ヴェテールが映画初主演したコメディドラマ。少年時代にミス・フランスになることを夢見ていたアレックスは、もう一度夢に向き合うことを決意し、周囲に支えられながら男性であることを隠してミスコンに挑んでいく。俳優としても活躍するルーベン・アウヴェス監督が、自分の殻を破ろうともがく若者の姿を描く。フランス映画祭2020 横浜上映作品。
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非建築家、美術家、映画評論、ドラァグクイーン、アーティスト
ヴィヴィアン佐藤
昨今流行のLGBT映画ではない。日本でも元アイドルがニューハーフ役に挑戦したり、テレビ媒体でこの程度の世界観を描写することは多々ある。冒頭バス内で聾?の少女とアイコンタクトをしたり、移民やゲイの娼婦など社会のマイノリティたちとの交流は多様性への承認となっている。ゴルチエのモデルもしていたという主人公演じる美しきアンドロギュヌス的な魅力のアレクサンドル。社会的な主張もある作品だが、この程度なら『ル・ポールのドラァグ・レース』で十分かも知れない。
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フリーライター
藤木TDC
フォーマットは古典的な「スター誕生」映画。最終盤にテレビ中継の副調整室シーンになる点まで見事に様式美に貫かれ、そんな物語のナイーヴさが好きな私は思わず拍手してしまうが、ワンパターンを感じる観客も多そう。美貌の主演俳優について属性を厳密に規定しない設定にジェンダームービーの現在進行形を感じるものの、ミスコン関係者が誰も主人公の性別を疑わないのはいくら長身女性の多い西欧が舞台でも強引。あるいはとネット検索したら、すでに現実に似た出来事が起きていた。
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映画評論家
真魚八重子
スルッと観られるし、こういった逆境をはね返す感動物語には、複雑な展開はなくていいのだろう。主人公に降りかかる難題が、倍の幸福感として返ってくる単純さもたまにはいい。その展開をつなぐ細部も語りこぼしは特に見られず、個性的なキャラたちもメンツが揃えてある。でもどことなく雑というか、ステレオタイプに依存していて、本作で新しい内面が掘り下げられたといった個性や長所を感じない。どこかで見た話、どこかで見たキャラの集合体が単純化され、記号的に並んでいる。
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