アメイジング・グレイス アレサ・フランクリンの映画専門家レビュー一覧

アメイジング・グレイス アレサ・フランクリン

    “ソウルの女王”アレサ・フランクリンの1972年のゴスペル・ライブを収録したドキュメンタリー。「愛と哀しみの果て」のシドニー・ポラックにより撮影されるも技術上の問題により未完となっていた映像を、最新技術で映画化。伝説のライブが映画館で蘇る。2019年NAACPイメージ・アワードoutstanding documentary、カンザスシティ映画批評家協会ベストドキュメンタリー受賞のほか、国際映画祭に多数出品。
    • 映画評論家

      小野寺系

      もはや歴史上の偉人と言っていいアレサ・フランクリンのゴスペルが、1972年当時のロサンゼルスの空気と人々の熱気を伝える映像とともに響き渡る。そのパフォーマンスの素晴らしさは言うに及ばず、黒人文化を知る上で資料的価値も大きい貴重な映像作品だ。端正な構図で撮る印象が強いシドニー・ポラック監督が指揮する撮影は、合唱団の一人ひとりがアレサの歌声に感極まって涙する感動的な瞬間をとらえるなど、意外にも即興的に対象を捉えているが、ここではそれが正解なのだろう。

    • 映画評論家

      きさらぎ尚

      アレサ・フランクリンのライブ・アルバム〈Amazing Grace〉に圧倒されたが、このライブを撮影した映像が40年近く眠っていた理由を知って驚いた。ポスプロで映像と音声がシンクロできなかったとは!? 移動するスタッフが映り込んでいたり、音声が途切れたりで粗いが、父親が女王の汗を拭くなど、本物の聴衆の前でのライブ収録に特有のアットホームな温もりがある。監督のS・ポラック、聴衆の一人M・ジャガーの姿も見え、今見るのはタイムカプセルを開けるような楽しさがある。

    • 映画監督、脚本家

      城定秀夫

      「カチンコがなかったために音と映像をシンクロさせることができないというトラブルに見舞われ、未完のまま頓挫することに」(公式ママ)とのことだが、こういうドキュメンタリーのフィルム素材のカット毎にカチンコが入ってないのは珍しいことではないだろうし、トラブルとか言ってないで何とかしろよ、と思わなくもないが、とまれ、貴重なライブが現在の技術で蘇ったのは喜ばしいし、フィルムのテクスチャとアナログ録音の音質が当時の空気をそのままに封じ込めていて素晴らしい。

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