アナザーラウンドの映画専門家レビュー一覧
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映画監督/脚本家
いまおかしんじ
血中アルコール濃度0・05%で全てがうまくいく。そんなアホな。アレコレうまくいかない中年たちが、真剣にアホなことにのめり込んでいく。小さい話だけど、身につまされた。酔っ払って馬鹿騒ぎをしている彼らを見ていると、だんだん切ない気持ちになってくる。そんなことでうまくいくわけがない。残酷な失敗がいくつも重なる。それでも生きていかなきゃいけない彼らを自分と一緒だと思った。最初は飲まないと言っていた主人公が、結局飲んじゃうのが、微笑ましくてよかった。
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文筆家/女優
睡蓮みどり
根が暗いのでお酒を飲まないと喋れないというのは痛いほどよくわかる。実際に何度も失敗もしてきた身としては登場人物たちが他人とは思えない。人生を向上させる実験という大義名分のもと、さえない教師たちが日々酒を浴びる姿が切なくも愛おしくてたまらない。どうしてマッツ・ミケルセンの目はあんなに愛情深いのだろう。『ハンニバル』で完全に彼の虜になってから心待ちにしていた作品。バレエを学びプロダンサーとしても活躍したマッツが踊るシーンにも釘付けで、至福の一言。
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映画批評家、東京都立大助教
須藤健太郎
こういうのは知らない振りをしておくのが粋だと教わった気がするが、一応突っ込んでおく。これはカサヴェテスの「ハズバンズ」ってことですよね。計画的に、節度をもって、ハズバンズを日常に取り入れる。すると、社会生活が円滑にって、それはやっぱり無理な話だろう。どういう発想なのか、理解に苦しむ。終盤に友人の葬式があって、「ハズバンズ」の逆なんですよというあたりも実に言い訳めいている。私は酒を飲まないので、辛口なのは下戸の僻みかもしれません。ご寛恕を。
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