ねばぎば 新世界の映画専門家レビュー一覧

ねばぎば 新世界

「ひとくず」の上西雄大が監督を務め、赤井英和と共にW主演したドラマ。かつてヤクザの組を潰して廻っていた勝吉は、その頃の弟分・コオロギと再会する。そんなある日、勝吉は宗教団体から逃げ出した少年を助ける。その宗教団体には勝吉の恩師の娘も入信していた。2020年ニース国際映画祭最優秀主演男優賞(赤井英和・上西雄大)、2021年WICA(ワールド・インディペンデント・シネマ・アワード)外国映画部門最優主演男優賞(赤井英和・上西雄大)受賞。
  • フリーライター

    須永貴子

    大阪・新世界を舞台に、アウトローが織りなす、昭和風人情物語。新世界から外国人旅行者が消え去ったタイミングでの作品の誕生に、作り手の、タイトル通りのたくましさが伝わってくる。ユーモアとシリアスの配分も良く、(この界隈での)豪華&特濃キャストも飽きさせない。もったいないのは、クライマックスのアクションシーン。スピード感がなく、迫力不足。また、このジャンルは個人的に100分に収めてほしい。間延びの原因となっている余計なシーンが、気になってしまった。

  • 脚本家、プロデューサー、大阪芸術大学教授

    山田耕大

    〈ねばぎば〉というのは、〈ネバーギブアップ〉ということなのか。なら、題名に偽りありだ。串カツ屋で働く勝吉も、ムショ帰りのコオロギも、「新世界」というユートピアでぬくぬくと楽しく生きている。喧嘩が無類に強いという二人だとしても、敵のカルト集団もそれに金で雇われるヤクザもなんとひ弱なこと。彼らは出てきた時からすぐに潰せる相手だとわかるだらしなさ。だから二人は無敵であり、ネバーギブアップなどと言う必要など全くない。世の中も映画もちょろいもん?

  • 映画評論家

    吉田広明

    重厚と軽薄、二人の喧嘩師が悪徳新興宗教家と戦う。主人公二人の造形は「悪名」を思わせるが、勝新と田宮の軽妙さには遠く及ばず、それは仕方ないながら、赤井という優れた身体能力の持ち主を用いながら喧嘩場面でそれを生かせていないのは大きな瑕疵だ。拳で人が救えるのかという恩師の娘の言葉が主人公への決定的な縛りになるはずも、ねばぎばでっせの一言で一瞬にして破られる。何が映画の原理となるのか、それをいかに展開するのかの思想が欠如して表層的に話を進めているのみ。

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