人生の運転手(ドライバー) 明るい未来に進む路の映画専門家レビュー一覧

  • 映画監督/脚本家

    いまおかしんじ

    振られてダメになってから、どうなるかが見所と思うが、なかなか話が展開しない。同じ振られもの同士の復讐作戦。コミカルなやり取り。どうも乗れない。浮気相手の女子もお金の亡者という悪者設定からはみ出ていない。同じ男を取り合った女子二人の話になるかと思いきや、そうはならない。主人公の女子は、徹底的にいい人で、油断して見ているとホロッとくるシーンがいつくもあった。でもせっかく夢だったバスの運転手になったのに、その設定が生きていないのが残念だった。

  • 文筆家/女優

    睡蓮みどり

    彼氏を奪われ仕事を失くした女と、元彼と結婚した狡猾な女と、うだつの上がらない男を取り巻く愛憎劇をハートフルで包み込んだような作品。ニンニクたっぷりの餃子が食べたいのに中からあんこが出てきた感じ。結婚観など古臭く、女性が自立して生きることを本気で目指すならば、新しい世代の女性同士を対立させる話をなぜこの時代に描こうとするのか謎。便器を歯ブラシで磨く復讐方法など古典的で微笑ましくはあるのだが。とはいえ主人公がチャーミングで後味は決して悪くない。

  • 映画批評家、東京都立大助教

    須藤健太郎

    傑作とはいうまい。しかし愛おしい作品だ。どの場面もイントロのようで、いまにも歌が始まりそうな予感に満ちていながら、けっして歌が歌われることはない。そういう危ういバランス感覚に貫かれている。「再婚喜劇」のフォーマットをいかに受け継ぎ、いかに更新するかという本作の課題は早い段階で明らかにされるので、私としては復縁ではないかたちで和解が訪れることをずっと願っていた。最後、結局は再婚喜劇かと思わせたところで、巧みにかわしてみせるラストの流れがいい。

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