コーダ あいのうたの映画専門家レビュー一覧
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映画監督/脚本家
いまおかしんじ
最初の方の音楽教師のセリフから、なんだか涙が出てしょうがなかった。ヒロインの仕草、表情、歌、全部好きだ。好きなものを見続ける幸せ。彼女が歌に没頭するときの喜び。好きな男子と会話する時のトキメキ。家族と歌の板挟みになってどうにも出来ない苦しさ。ビンビンに伝わってくる。どの人物も魅力的だ。登場人物一人一人をやさしい目線で描く。やさしくてアホで生きるのがヘタな人たち。コンサートの歌の演出にも驚愕した。聞こえない耳に歌声がどう伝わるのか。すげえよ。
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文筆家/女優
唾蓮みどり
理解しあえるとは何か。通じ合えるとは何か。家族の中で自分ひとりだけが耳が聞こえるという状況の中、責任感が強く、家族思いの主人公のルビーとユーモアたっぷりの家族たちの姿がパワフルに映し出される。生まれたばかりの娘が健聴者であることを知り、喜ぶよりも自分とは分かり合えないかもしれないと過ってしまった母の思いも、娘の歌声を聞くことのできない父親の表情も切ない。ルビーを演じたエミリア・ジョーンズがこれでもかというほどに魅力的だ。
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映画批評家、東京都立大助教
須藤健太郎
カットの割り方やフォーカス送りの使い方に違和感があったが、途中でその理由がわかった。すべてが単なる視線の誘導でしかないからだ。コンサートの場面でさも得意げに無音にするのが特徴的なように、この映画は観客に登場人物への不可能な同一化を強いる。観客にも登場人物にも、何より聾唖者に礼を失した振る舞いと思う。少なくとも私にとって、観客がその作品とどう関係を築くかを探ることが映画を見るという経験であり、観客の反応をあらかじめ見越したような作品は信頼しない。
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