キングダム2 遥かなる大地への映画専門家レビュー一覧

キングダム2 遥かなる大地へ

累計発行部数8700万部超の漫画『キングダム』を原作とする映画の続編。中国春秋戦国時代、えい政が玉座を奪還した秦に、隣国・魏が国境を越え侵攻を開始。信は歩兵として戦に向かう道中、同郷の尾兄弟と再会する。戦場では、秦軍は完全に後れを取っていた。監督は前作に引き続き、「いぬやしき」の佐藤信介。出演は、「夏への扉 キミのいる未来へ」の山崎賢人、「一度死んでみた」の吉沢亮、「かぐや様は告らせたい 天才たちの恋愛頭脳戦」シリーズの橋本環奈。
  • 映画・音楽ジャーナリスト

    宇野維正

    説明台詞の洪水と、高音がキンキン鳴りっぱなしの忙しない劇伴。まさに「『鬼滅の刃』時代の実写ヒット・フランチャイズ」な趣の本作だが、想像以上にエクストリームな構成に驚いた(前作は未見で、観るつもりもない)。なにしろプロローグ&エピローグ(ちなみに二番目と三番目にクレジットされている吉沢亮と橋本環奈はそこにしか出ない)を除いた本篇の大半が屋外での合戦シーンなのだ。ストラテジーと戦闘本能を対比させたクライマックスの決闘はなかなかの見応え。

  • 映画評論家

    北川れい子

    冒頭近くで前作のいきさつをザックリおさらいしてスタートするが、本篇の半分以上は広大な平原 (ほとんど砂地)での合戦場面と、歩兵たちのエピソード。さまざまな仕掛けとアクションはそれなりに頑張っていて、西部劇ふうの趣向も。血腥い演出より集団活劇のノリ。でふと角川春樹監督のド派手な戦闘絵巻「天と地と」を連想したりしたのだが、なんとなんと、終盤に登場する王騎役の大沢たかおが不敵な笑みでその合戦を一蹴、大沢たかおの色気と貫祿に、集団活劇も完敗の図!?

  • 映画文筆系フリーライター。退役映写技師

    千浦僚

    「遥かなる大地へ」ってロン・ハワード監督、トム・クルーズと二コール・キッドマンの19世紀末アイルランドからアメリカへの駆け落ちを描いた映画の題名と同じでどうも困る。だが中国戦乱古代史劇がトムクル映画にスケール負けした(個人の)印象。ストーリーが途中すぎてアクション以外が薄く感じられてよくない。渋川清彦が演じた千人将縛虎申が危険だが魅力的だった。だがその特攻、滅私礼賛に抗するような、濱津隆之伍長による弱者の生存哲学をもっと見たかった気がする。

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