リボルバー・リリーの映画専門家レビュー一覧

リボルバー・リリー

長浦京による同名小説を原作に「窮鼠はチーズの夢を見る」の行定勲が映画化。1924年、東京。謎の男たちに屋敷を襲われ女中らを惨殺された細見慎太。追っ手に取り囲まれ、窮地に陥る彼の前に現れたのは小曾根百合。その手には、S&W M1917リボルバーが握られていた。出演は「はい、泳げません」の綾瀬はるか、「シン・ゴジラ」の長谷川博己、Go!Go!kids/ジャニーズJr.のメンバーで幼少期から俳優としてもキャリアを積んできた羽村仁成。
  • ライター、編集

    岡本敦史

    企画はいいし、大掛かりな美術とVFXを駆使した大正13年のビジュアル、自然美を捉えたロケーションもいい。だが、行定勲監督の活劇ジャンルへの戸惑いは最後まで払拭できず、文字どおり五里霧中のクライマックスまで「手に汗握らなさ」に全篇貫かれてしまったように思う。台湾帰りの凄腕アサシン美女が少年同伴で帝国陸軍の包囲網を突破する「グロリア」+「ガントレット」な見せ場でも、満身創痍でも息切れひとつせず決め台詞を放つ綾瀬はるかは無敵のサイボーグに見えた。

  • 映画評論家

    北川れい子

    ずいぶんと話が強引、乱暴、いや荒唐無稽な設定のアクションサスペンスだが、それでも楽しめるのは、リリー役・綾瀬はるかの素早いガンさばきと、ブルース・リー張り!の、殴る蹴る、投げてぶつかり、倒して取っ組み合い、といったアクションが、しっかりサマになっているからだ。しかも彼女はどこでもリボルバーをぶっぱなし、誰が相手でも、退かない、諦めない。二丁拳銃で敵に立ち向かう場面も。大正時代のファッション、風俗も話の種になる、綾瀬はるか限界超えの娯楽活劇。

  • 映画評論家

    吉田伊知郎

    綾瀬、長谷川ら虚構性に耐えうる俳優陣に加え、セットとVFXを織り交ぜて大正を再現した美術の見事さも相まって最後まで飽きさせず。埼玉→東京で進行する無理のない移動距離も良い(やっと玉の井まで連れてきた少年から目を離し、直ぐに拉致されるのは無警戒すぎるが)。アクションをドラマになじませて悪目立ちさせない趣旨は良いとしても、形を演じている感が強く、肉体の痛みは伝わらず。濃霧の銃撃戦も距離感が喪失。映画的なカタルシスよりも、非戦を少年に貫かせたのは見識。

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