彼女たちの革命前夜の映画専門家レビュー一覧
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映画監督/脚本家
いまおかしんじ
主人公の女の人は、女だからと軽く見られ、ムカついている。生きづらさを感じている。彼女は行動する人だ。ガンガン攻めていく。当然衝突もする。彼女の母親が、子供はどうするのと問う。旦那もそれは危険だと止める。確かに、彼女が全く正しいというわけではない。悩みに悩んで、それでも彼女が動き始めるシーンはグッとくる。最後、もうどうにも我慢ができなくなって、爆発する彼女たちのヤケっぱちの顔がいい。やりたいことをやり遂げた解放感に満ちている。
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文筆家/女優
唾蓮みどり
ミスコンに対してアンチを唱える70年代の女性たちの生き様。ルッキズムをここまではっきりとエンタメのなかで問題視してみせる姿勢にこちらの背筋もピンとなる。幼い娘がミスコン出場者の真似をしてポージングしているのを微笑ましいシーンとしてではなく、母親が懸念するシーンとして描くことにこの映画の強さを感じる。生きていく中であたりまえのように存在してきた女性蔑視。その怒りとどう向き合うかこの一瞬で考えさせられる。全然書き足りないけど、とにかく映画を見て!
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映画批評家、東京都立大助教
須藤健太郎
美点は多くあるが、1つだけ挙げる。グリフィス「國民の創生」(15)以来、映画において劇場とは「出来事」が生起する場であり、視線が交錯し、サスペンスが醸成する場であったが、この映画はそうした伝統を脱臼させる。劇場でのコンテスト妨害が緊張感とは無縁の弛緩した場面として演出される。それゆえ、映画が提示してきた要素のすべてを統合する場面でありながら、どこか盛り上がりに欠けている。真の「出来事」は視線を逃れた舞台裏で、たとえば女子トイレで生じるわけである。
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