BADCITYの映画専門家レビュー一覧
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脚本家、映画監督
井上淳一
作品評とは関係のないところに存在する映画がある。例えば千葉真一のカラテ映画のような。本作然り。小沢仁志60歳の肉弾戦。「ベイビーわるきゅーれ」のスピード感はそこにはない。でも肉体は確かに存在している。それって映画にとって重要なことでは。唯一の不満はもっと小沢に特化した映画でも良かったのではないかということ。小沢さんの気遣いが全方位に及び、それが逆に話の弱さを露呈させている。小沢さん、還暦おめでとうございます。今度は一人称映画をやりませんか。一緒に。
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日本経済新聞編集委員
古賀重樹
「小沢仁志還暦記念作品」というノリがいい。市長候補も検事も刑事もみんな悪党とつるんでいるゴッサムシティみたいな都市で小沢が大暴れする。マフィアを殺した罪で服役中の元警部が秘密裏に仮釈放されたという設定で、特捜班を率いて市長候補の闇を暴く。そんな荒唐無稽な物語を生身のアクションで見せ切る。はぐれ者のアウトローをスタントなしで演じる小沢とVシネ俳優たちの不良性感度は健在で、勝ち目のなさそうな殴り込みも、悪党どもへの決め台詞も、さまになっている。
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映画評論家
服部香穂里
長い俳優人生の中で玉石混交の脚本を読み込んできた経験も活かされたであろう小沢仁志の還暦を記念し、“任?ものアベンジャーズ”さながらの超豪華キャストが集結。観る側も自ずと身体が動き、筋違いを起こしてしまいそうな渾身のアクションが惜しげもなく繰り出される中、「ベイビーわるきゅーれ」のアクション監督の作品だけに、紅一点の坂ノ上茜が、屈強な男どもにボコボコにされつつも這い上がる、新米刑事の躍進を力演。“最後の無茶”とは言わず、シリーズ化にも期待したい。
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