天間荘の三姉妹の映画専門家レビュー一覧
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映画・音楽ジャーナリスト
宇野維正
過剰な台詞、大袈裟な劇伴、ここぞという場面での絶叫演技。平均的メジャー日本映画のだらしないところを詰め合わせたような作品に、アメリカの映画界で継続的に仕事をしてストイックな演出も身に付けてきたはずの北村龍平が平然と回帰している謎。北村自身が19年前に手がけた凡作「スカイハイ 劇場版」のスピンオフという成り立ちを持つ作品だが、それを見映えだけは感動大作風の佇まいに仕上げているチグハグさ。150分という長尺にも、企画の浅慮さが表れている。
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映画評論家
北川れい子
魂の不滅性と生への賛歌をここまで軽やかに、そして賑やかに描きだすとは、アクション系の北村龍平監督、大したものである。いわゆる“三途の川”を連想させる、あの世とこの世の中間にある三ツ瀬町。海に面したこの町の老舗旅館をメインにした母系家族によるリアルファンタジーで、ベースあるのは東日本大地震。切ないエピソードもあるが、現世とまったく変わらないここでの日常が小気味良く、イルカと戯れる門脇麦とのんの場面など拍手級。女優陣がそれぞれに自然体なのも魅力的。
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映画文筆系フリーライター。退役映写技師
千浦僚
さすがにちょっと締まらない長さでは。前半部分が原作に全然跳ねるものを加えない実写置き換えで、翻案部分も具体的な面白さが減じたように感じる。幽冥界を描くファンタジーにしては実景と人物がノイジーな生々しさを制御しきれてないかと。ただキャラをきっちり仕上げてきた三田佳子と柴崎コウ、カメラをピタリと手中におさめる永瀬正敏、姉妹役で身長差が逆の大島優子とのん(前者は意外と背が低く、後者も意外と背が高い)の活気などはいい。だがそんなザ・邦画でいいのか。
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