みんなのヴァカンスの映画専門家レビュー一覧
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映画監督/脚本家
いまおかしんじ
ずっと微笑ましくてニヤニヤしてしまう。3人の男子は、みんなヘタレでヴァカンスに来たって全然いいことなさそう。対する女子のキャラがみんないい。すぐにオッケーかと思いきや、何だかんだと文句をつける。そのツンデレぶりが凄まじい。振り回されおかしくなってくる男子には同情しかない。それぞれ男子も女子もいい奴らで、悪意なんかまったくないのに、何でこんなにうまくいかないのか。人妻とデートから帰ってきて、別れる直前の戸惑いとか、身に覚えがありすぎて痛い。
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文筆家/女優
唾蓮みどり
恋愛未満、友情未満が織りなすうつろいやすさ。徹底されてきたギョーム・ブラックの世界観、不器用な男性を主人公にして恋愛を中心にすすんでいく物語を簡単に「愛おしい」などと形容したくないと思いつつ、いつも映画に流れる空気はどこか心地よさを感じてもいる。俳優たちの自然な演技が魅力的だった。特にカラオケシーンのちょっとした瞬間の親密さなどには惹きつけられるものがある。“いい人”であり続けたシェリフに「ご褒美」かのようなラストには違和感があったけれど。
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映画批評家、東京都立大助教
須藤健太郎
呼ばれてないのにヴァカンスについていく。まるで「アデュー・フィリピーヌ」(62)か「オルエットの方へ」(71)か。エドゥアールはB・メネズを彷彿とさせる。だが、ロジエが複数の人物で1つの形象を作り上げるのに対し、本作の登場人物はそれぞれ個別の存在であり、フェリックスとシェリフは2人1組ではないし、エドゥアールとトリオを結成するわけでもない。アルマやエレナやニコラらもそうだ。別々の物語を担った異なる存在同士の組み合わせがそのつど出来事を生起させる。
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