美男ペコパンと悪魔の映画専門家レビュー一覧

美男ペコパンと悪魔

フランスの文豪ヴィクトル・ユーゴーの小説を基に、現代日本と中世ヨーロッパ大陸をシンクロさせながら決死の闘いを描くダークファンタジー。隼人は事故に遭い昏睡状態になり、恋人の亜美は隼人が持っていた小説『美男ペコパンと悪魔』を彼の傍で読み始める。監督は、「渚に咲く花」などを手がける一方、「とんかつDJアゲ太郎」ではVFXスーパーバイザーを務めた松田圭太。『ミュージカル・テニスの王子様』3rdシーズンで主人公・越前リョーマ役を務めた阿久津仁愛がペコパン/隼人、アイドルグループAKB48の下尾みうがボールドゥール/亜美の1人2役を演じる。また、作中に登場する異形のクリーチャーのデザインを、中国を拠点に世界的に活動するサゼン・リー、「怪猫狂騒曲」「ネズラ1964」などに参加した米山啓介、カプセルトイ『空想生物図鑑』を手がけたムラマツアユミが担当。
  • 脚本家、映画監督

    井上淳一

    高校生カップル。事故で目覚めない男の枕元でユゴーの『美男ペコパンと悪夢』を読む女。それが映像になる。が、その劇中劇が面白くも何ともない。現実話と何もシンクロしないし。しかも学芸会。CGもチャチ過ぎて。予算もあるだろうが、この程度しか出来ないならやるべきではない。世界に笑われるって。そういう客観視点を持たないと。だいたいなぜこの原作をやろうと思ったのか。何の勝算があるのか。監督も脚本家もプロデューサーも作る前に自分に問うてほしい。なぜ作るのか。

  • 日本経済新聞編集委員

    古賀重樹

    ヴィクトル・ユゴーにこんな小説があるとは知らなかったが、臆せず映画化した挑戦心を評価したい。現代日本の高校生カップルの物語と交錯させることで、怪物や悪魔が跋扈する中世のダークファンタジーを夢の中の出来事として描くのも賢明な方法だ。ありがちな青春恋愛ドラマに、19世紀のフランス小説の世界が乱入する。そんな大胆な発想が、メジャーでなくてインディペンデントから出てくるというのが日本映画の現実か。CGをハリウッドと比べるのは詮無いことだ。

  • 映画評論家

    服部香穂里

    この規模でヴィクトル・ユゴーの幻想譚そのものの実写化に挑むのは、さすがに無謀と身構えるも、連日見舞いに赴く読書家女子高生の、何かと抜けているが恋人想いの彼氏の快復への祈りも込めた脳内世界と理解すれば、見るからに日本なロケーションなども許せる気がする。“テニミュ”出身の阿久津仁愛が、自身の運命さえ翻弄することになる色男ぶりばかり強調される序盤は気恥ずかしさが覗くも、CGに負けじと徐々に持ち前の身体能力の高さも発揮し、映画界での飛躍にも期待。

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