リトル・マーメイド(2023)の映画専門家レビュー一覧

リトル・マーメイド(2023)

1989年製作の同名ディズニーアニメを「シカゴ」のロブ・マーシャル監督が実写化。海の王国を司るトリトン王の末娘であり、世界で最も美しい声を持つアリエル。好奇心溢れる彼女は、人間のエリック王子を助けたことから、まだ見ぬ人間の世界へと足を踏み入れてゆく。出演は、新人ハリー・ベイリー、「ゴーストバスターズ(2016)」のメリッサ・マッカーシー、「ベラのワンダフル・ホーム」のジョナ・ハウアー=キング。
  • 映画評論家

    上島春彦

    世間状勢に無知な私はのんきに劇場試写に足を運び、ビックリ。主人公の風貌がどうしてこういうことになったのか。名曲満載、しかも魚群ミュージカル場面の秀逸さもあって見どころは多いものの、マーメイド女性は皆、脱色AI化されたサイボーグ軍団みたいで味気ない。七つの海を代表する白黒黄色の娘さんばかりだから一夫多(人種)妻制の産物ということになるが、これはどうなのか。いずれにせよ業界を席巻するPC(ポリティカル・コレクトネス)主義者には超傑作ではないでしょうか。

  • 映画執筆家

    児玉美月

    台風により吹替版での鑑賞。ちょうどディズニープリンセスについての論考執筆でほぼ全作品見返しており「リトル・マーメイド」がいかに画期的な意義をもたらした作品だったか身に沁みていたため、大波による幕開けはこの作品に相応しく正しい。アニメ版よりエリックとアリエルがなぜ惹かれあったのかに言葉が尽くされている。〈パート・オブ・ユア・ワールド〉の歌唱におけるハリー・ベイリーの表現力が白眉。「ここではないどこか」への希求をその身に携えた俳優の身体でなければ。

  • 映画監督

    宮崎大祐

    前半の海中シーンはCGのクオリティも高く、縦の空間を存分に使った演出に海洋生物好きの筆者は大興奮。そしてヒロインの人魚を演じるハリー・ベイリーの歌がべらぼうにうまいので、ミュージカル・シーンだけでもしばらくは楽しく見ていられる。しかし中盤で物語が地上に移ってからはなかなか許容できないレベルのご都合主義的展開が散見され、演出も成立しておらず、さっさとお話を語り終えたいという意志以外には何も感じられないシーンがつづき、どうにも置いていかれた気分に。

1 - 3件表示/全3件

今日は映画何の日?

注目記事