忌怪島 きかいじまの映画専門家レビュー一覧

忌怪島 きかいじま

「呪怨」シリーズ、「犬鳴村」、「樹海村」、「牛首村」の『恐怖の村』シリーズの清水崇監督が、島という閉鎖空間を舞台にVR(仮想現実)研究チームに次々と降りかかる惨劇と謎を現実と仮想という2つの空間で斬新に描くホラー作品。出演は、本作が映画初主演になる西畑大吾(なにわ男子)、生駒里奈、平岡祐太、笹野高史、なだぎ武、山本美ほか。
  • 映画・音楽ジャーナリスト

    宇野維正

    「犬鳴村」で当てた「恐怖の村」シリーズにおいても、惰性でシリーズの延命を図るのではなく、その製作環境を利用してJホラーを革新すべく、テーマや手法の実験を繰り返してきた清水崇監督。本作もその流れを汲んだ作品で、地縛的な呪いとメタバースという相反するテーマをアクロバティックに処理している。もっとも、研究室の設定や研究員の役割に説得力がなく、メタバース側が恐怖の足を引っ張っている。メインキャスト2人が中心のシーンには緊張感があっただけに残念。

  • 映画評論家

    北川れい子

    ホラー映画の進化か、迷走、もしくは暴走か。それにしても、島のどこかでひっそりとさまよっていたに違いない伝説の怨霊も難儀なことである。バーチャル・リアリティとかメタバースとか、とんでもない空間に引っ張り出されて。けれどもこちらには無理やりあれこれ盛り込んでいるとしか思えず、恐怖どころか何が何やら。そういう意味ではネット情報に振り回されているZ世代向きのホラー映画と言えるのかも。お膳立ての奇抜さも含めて。島のシャーマンが賑やかし扱いなのも何だかなぁ。

  • 映画文筆系フリーライター。退役映写技師

    千浦僚

    キカイジマとは機械島か。05年のディストピアSF「アイランド」(監督マイケル・ベイ)のテイストをVRに置き換え、ホラーにしたとも思えるが結構ゾクリとさせるものがある。それは本作そのもののホラーとしての完成度に結実してないかもしれぬが、何かをデジタイゼーションする過程で魔的なものを取り込む、魔はバグのことである、リアルにおいてバグのように見えるものが魔だ、というイメージはキた。実質の主人公は笹野高史さん! 笹野爆発。笹野版「怒霊界エニグマ」というか。

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