僕の町はお風呂が熱くて埋蔵金が出てラーメンが美味い。の映画専門家レビュー一覧

僕の町はお風呂が熱くて埋蔵金が出てラーメンが美味い。

富山県射水市を舞台に、地元の危機を救おうと奮闘する高校生男子三人組の挫折と成長を描くハートフルコメディ。「日本のベニス」とも呼ばれる射水市の町並み、放生津曳山祭などが本作を盛り上げる。主人公・トオルには、スターダストプロモーション主催の第1回スター☆オーディションで男子部門グランプリを受賞した酒井大地。トオルが淡い恋心を抱く同級生の花凛に原愛音。トオルの祖父母に泉谷しげると丘みつ子、新湊市(現・射水市)出身の立川志の輔が町の医師役で友情出演。
  • 映画・音楽ジャーナリスト

    宇野維正

    ありがちな地方都市の「町おこし」事業予算消化映画かと思って身構えたが、これは拾い物。若い世代の生まれ育った土地や家族への愛憎、地方の過疎化や外資流入の問題とも向き合った上で、ご都合主義ギリギリでフィクションとしての落としどころを見出している。YouTubeやソーシャルメディアでのコミュニケーションに対して斜に構えていないのもいい。地方に限らず、今どきの一般的な高校生は自分の世代の高校時代と比べて驚くほど素直で健気で真面目、という日常の実感とも合致。

  • 映画評論家

    北川れい子

    地元愛が高じてつい暴走してしまうドジでノリのいい高校男子3人組の騒動だが、その行動のあまりの幼稚さに鼻白む。女湯を覗くか? シャベル一つで埋蔵金を探すか! せめて中学生に設定すれば。おっと中学男子に失礼か。とはいえご当地映画定番の祭行事に頑固祖父、自転車に乗っての彼らの往来は定番なりに観ていて気持ちがいい。そして船が往き来する川沿いの町並み。町の過疎化に便乗した開発騒ぎが薄っぺらでこれも鼻白むが、品のいい祖母役・丘みつ子のエピソードは感動的。

  • 映画文筆系フリーライター。退役映写技師

    千浦僚

    地方の町おこし映画みたいなものは無数にあり、そこでは一種の祈りのように住民の呼び戻しや地域再興が語られるが、それは本当に可能か、と観ていていつも少し思ってしまう。映画に何ができる? この種の映画はあまりすごいことできるフリをしてはいけない。チャーミングで、面白くなければいけない。本作はその点、人物全員と土地に魅力があった。泉谷しげる演じる老人の死体を玩弄するギャグや、町の買収・再開発を目論んだキャラが最後撤退しつつも一席ぶつのとかが好ましい。

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