禁じられた遊び(2023)の映画専門家レビュー一覧

禁じられた遊び(2023)

あらゆる恐怖を追求し世に送り出してきた中田秀夫が、清水カルマによる同名小説を実写化したホラー。元同僚・伊原直人の妻の葬式で、直人と再会した映像ディレクター・倉沢比呂子。周囲で奇怪な出来事が起こるなか、その根源を探るため比呂子は伊原家へと向かう。出演は「カラダ探し」の橋本環奈、「溺れるナイフ」の重岡大毅、「オカルトの森へようこそ THE MOVIE」の堀田真由。
  • ライター、編集

    岡本敦史

    「リング」公開から25年、いまだに同じものを期待されるのはさぞつらかろう……と思って観ていると、まるで白石晃士監督のお株を奪うかのようなオカルト怪物ホラーになるので驚いた。シソンヌ長谷川忍演じる霊能者のキャラクターがめきめき立ってくるあたりから映画は暴風圏内に入り、ジャンルの先駆者的イメージなど自ら踏みにじるような演出に振り回される。亡霊ならぬ暴霊=ファーストサマーウイカの進撃にも目を見張るが、いちばん怪物性を感じるのは中田秀夫監督その人だ。

  • 映画評論家

    北川れい子

    事故死したはずの理不尽な存在に取り憑かれてしまった橋本環奈の、恐怖演技百態?! 探偵役を兼ねているのがミソか。彼女の元同僚の妻子に起こった悲劇からスタートするのだが、子どもが唱える呪文とか、仰々しい?祷師とか、あれやこれやのエピソードがみな唐突で、終盤に明らかになる奇っ怪な教祖との因縁など、後出しジャンケン並み。そして呪われたライター。当時好意を抱いていた元同僚に彼女が贈ろうとしたモノだが、喫煙者が嫌われる現代にライターとは、何考えているんだか。

  • 映画評論家

    吉田伊知郎

    そのまま撮れば「ペット・セメタリー」になりそうな話を、笑いと恐怖が紙一重であることを熟知した中田秀夫が緩急ならぬ〈笑恐〉をちりばめる。日本幽霊顔のウイカを、身体性を生かした動きで怖がらせつつ、極端に猜疑心を持つ設定で笑わせる。シソンヌじろうの俳優としての才は認識していたが、長谷川が丹波哲郎クラスの怪優ぶりを発揮するとは。すべて受け止め猪突猛進する橋本と、被虐がエスカレートして狂気に達する重岡も良い。息子が生まれたばかりの身には後半は辛すぎましたが。

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