お終活 再春!人生ラプソディの映画専門家レビュー一覧

お終活 再春!人生ラプソディ

シニアライフをテーマにした「お終活 熟春!人生、百年時代の過ごし方」の続篇となるコメディ。一人娘・亜矢の結婚を控えた大原千賀子と真一の夫婦。そこへ、真一の認知症疑惑が持ち上がる。一方、千賀子は若い頃に熱中したシャンソンを再び習い始め……。出演は「月」の高畑淳子、「沈黙の艦隊」の橋爪功。
  • ライター、編集

    岡本敦史

    まるで折り込みチラシや企業パンフのまとめ動画を眺めているようだった(せめて観ながらポイ活できる仕様ならよかったのに)。別にその情報自体が悪いとは言わないが、何もかも売らんかな精神で凝り固められているので、たとえば橋爪功演じる旦那がいくら口が悪くても「死ぬ間際にそんなムダ金ばっかり使えるかい!」とは絶対言わない。いまの日本人の「怒らなさ」に乗っかったような作りに、暗い未来を見た。豪華出演陣の健在ぶりを眺めていれば、ファンはいくらか安心できようが……。

  • 映画評論家

    北川れい子

    生きていれば人は誰でも歳をとる。「終活」に“お”をつけて軽みを持たせたこのシリーズ、今回も生前整理、葬儀の段取り、認知症の認定テストなど、シニア世代向きの実用的な情報を盛り込んでいるが、どの人物のどのエピソードにも笑いを忍ばせた脚本・演出はノリもよく、深刻にはならない。特に痛快なのは、前回同様、行動的で好奇心いっぱいの専業主婦役・高畑淳子と、彼女の掌でムダにぶつくさ言っている夫・橋爪功とのやりとり。実にお似合いだ。高畑淳子が歌うシャンソンも様になっている。

  • 映画評論家

    吉田伊知郎

    慌てて前作も観た不勉強な観客としては、続篇を期待する観客に水を差す気はないが、これだけのキャストを揃えて、こんなに緩くて良いのかと呆気に取られ続けた2時間を過ごす。後期伊丹映画が顔の知られたタレントを入れつつ、ハウツー映画の極北へ向かったことを思えば、そうした貪欲さは皆無と言って良い。こんなに芸達者なベテランを揃えれば、「九十歳。何がめでたい」を蹴散らす内容になったと思うだけに、大村崑のライザップぶりと、宮下順子の登場に喜んだのみでは寂しい。

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